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On the Production
by 井口健二
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■シークレット・ディフェンス、顧客、美しい人、私のなかの8ミリ、非女子図鑑、失われた肌、西のエデン、UWビギンズ、虹色の硝子
される作品。
ちょっとミステリアスな雰囲気をもつ女子転校生を巡って、
男子生徒と男性教師が三角関係の恋模様を繰り広げる。
コンセプト的には、『クレーヴの奥方』の現代版ということ
になっているようだが、手紙が問題にされる下り辺りがその
意味を持っているのかな…という程度だ。それより僕には、
中年男が若い女性に惑わされる『アメリカン・ビューティ』
の方が思い浮かんだが、それは僕自身がそちらの年齢の方に
近いせいにも拠るのだろう。
いずれにしても、それなりに古典的な物語が、現代の高校を
舞台に青春群像劇として描かれているもので、その点につい
ては、2006年東京国際映画祭コンペティションで上映された
『2:37』(日本公開題名:明日、君がいない)も思い出
したところだ。
脚本監督は、作家としても知られるクリストフ・オノレ。映
画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」のライター出身の監督の作
風は、新世代のヌーヴェルヴァーグとも言われているようだ
が、それなりに乾いた作風であるようにも見える。
主演は、クエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピ
ット主演の新作“Inglourious Basterds”にも出演している
レア・セイドゥ。他にグレゴワール・ルプランス=ランゲ、
オノレ作品の常連というルイ・ガレル。なお前の2人は今年
度のセザール賞若手俳優賞候補にもなっている。
また1999年版『クレーヴの奥方』でタイトルロールを演じた
キアラ・マストロヤンニのカメオ出演もあったようだ。
『私のなかの8ミリ』
俳優大鶴義丹の監督・脚本によるロードムーヴィ。
大鶴がバイクマニアであることは有名なようだが、本作では
さらにパリ−ダカールラリーに個人参加して2輪部門の完走
を果たしたこともあるという写真家の桐島ローランドを撮影
監督に迎えて、正にバイク好きの映画が展開される。
1人の女性が、恋人に教えられたという道順に沿って東京か
らバイクで日本海を目指し、さらに沿岸の道路を北に向かっ
て疾走する。そこには道連れとなる若い男性や、新婚当時に
バイクでアメリカ横断をしたことがあるという中年夫婦など
いろいろな出会いが描かれる。
またその間には、恋人が撮影したという8ミリフィルムが挿
入され、様々な出会いと共に彼女のいろいろな思いが綴られ
て行く…というお話だが、実はこのお話にはちょっとした仕
掛けがある。
それは、最近の映画ファンならすぐ気づいてしまいそうなも
のではあるが、そのため本作は、ファンタシーとして宣伝さ
れることにもなるようだ。そのために多少は凝った造りをし
ている部分もある。
ただし、映画はそのお話もさることながら、全体的にはバイ
クツーリングの楽しさを描いているようなところもあって、
それがいろいろな出会いであったりと言うところのものだ。
でもまあ上映時間65分だから、それほど深く描かれていると
いうものではないが。
出演は、NHKの番組『探検ロマン世界遺産』などの岡田理
江、同じくNHK大河ドラマ『葵・徳川三代』などの高杉瑞
穂。他に、長谷川初範、星野園美、湯江健幸、赤座美代子ら
が脇を固めている。
因に、本作はHDで撮影されているようだが、標準のHDの
解像度は16ミリフィルム程度のもの。従って8ミリではそれ
より解像度は落ちることになる。本作の挿入されたフィルム
のシーンが実際に8ミリのフィルムで撮影されたかどうかは
不明だが、その雰囲気は出ていた。
なお本作は、事前に第一興商の通信カラオケボックス向けに
ショートムーヴィとして予告編を含む4話が配信されたとの
ことで、映画の形態も様々になってきたようだ。
『非女子図鑑』
非女子とは「“女はこうあるべき!”という枠を飛び出した
女性」のことだそうで、男女同権とは言いながらもまだまだ
性差別の残る世の中で、そんな枠を取っ払って頑張る女性た
ちを主人公にした短編集。
しかもその短編集を、『呪怨』の清水崇、『怪談新耳袋』の
豊島圭介、『魁!クロマティ高校』の山口雄大、『真木栗ノ
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02月28日(土)
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