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On the Production
by 井口健二
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■パラレル、桃まつりkiss!、エリートヤンキー三郎、フロスト×ニクソン、60歳のラブレター、バーン・アフター…、ダイアナの選択
から始まる周囲の反応にもいろいろと面白いところがある。
全体の演出をもっとアヴァンギャルドにすれば、この風景の
中での物語がもっと活きるようにも思えたが。
「地蔵ノ辻」
道端の地蔵を熱心に撮り続けているカメラマンがいる。その
カメラマンに1人の女性が声を掛け、山里の祭りの写真を撮
りに行こうと半ば強引に誘いだす。そして、彼女の後に付い
て山路を登るカメラマンは…
『真夜中の宴』でも紹介した竹本直美監督の作品。今回は会
場で監督と話す機会があったが、この作品のファンタスティ
ックな雰囲気は良い感じだし、この感覚は大事にしてもらい
たいものだ。なおハリウッド映画の『7つの贈り物』と比較
してみるのも面白そうだ。
この他の「月夜のバニー」はホラー仕立てにしても良かった
のではないかな。重いテーマを見せるには、案外そんな手も
有効なものだ。一方、「収穫」はもっとファンタスティック
なものを期待したのに、これはちょっとはぐらかされた感じ
がした。
さらに、「それを何と呼ぶ?」と「たまゆら」では、主人公
たちの関係が女性には判るのかも知れないが、男性の僕には
ちょっとピンと来なかったのが正直な感想だ。
でも全体的には、どの作品も構成はしっかりしていたし演出
も悪いとは思えない。これからも期待して観ていきたいと感
じたものだ。

『エリートヤンキー三郎』
2000年から足掛け9年間も連載が続いているという阿部秀司
原作ギャグマンガの映画化。同原作はすでにテレビドラマ化
されており、本作はその劇場版となっている。
私立徳丸学園高校。そこは屈指の低偏差値を誇りヤンキーた
ちの巣窟と化していた。その学園にかつて入学した大河内家
の長男・一郎と次男・二郎は、そこを足場に県内各校のヤン
キーたちを掌握、大河内帝国を作り上げた。
ところが、徳丸学園校長の英断で2人は退学処分となってし
まう。そして新たな春の入学式。その学園に大河内家の三男
・三郎が入学してくることとなった。その三郎には、一郎、
二郎の跡を継ぐべくヤンキーたちの総長の座が用意されてい
たが…
現れたのは見るからにひ弱そうな少年。しかし彼には一郎、
二郎も一目置くヤンキーの熱い血が流れていた。その熱い血
はある条件の許で発揮されるもの。そして入学式早々、三郎
のヤンキーを血を滾らせることになる事件が起きる。
これにヤンキー撲滅を目指すエリート刑事やヤンキー刑事、
さらにヤンキー間の抗争や、ゲームオタクの美少女などが絡
んで物語が進んで行く。
血を滾らせたときの三郎の変身振りは、去年の夏頃ににどこ
かで観たことがあるような…とか、いろいろ気になるところ
はあるが、取り敢えずそれはパロディとして了解することと
して、アクションからVFXまでを取り揃えたギャグ映画が
展開する。
出演は、『仮面ライダー電王』などの石黒英雄がテレビ版に
引き続き主演の他、お笑いコンビインパルスの板倉俊之、映
画『うた魂♪』に出演の山本ひかるなど。さらになだき武、
竹内力らが共演している。
監督は、2004年『魁!!クロマティ高校』などの山口雄大、脚
本は、2007年『スピードマスター』などの木田紀生。
ただし山口監督の作品は、どちらかと言うとスプラッター系
の作品ではその過激さが活きるが、アクション系の作品は多
少空回りする感じがある。本作でも、1つ1つのシーンは良
いが、全体としてみたときに何となくバランスが取れていな
い感じがするところだ。
アクション系でも『クロマティ高校』などは良いと思うのだ
が、その落差がちょっと気になる。でもまあVFXなどは、
それが好きな人間にはそれなりに楽しめるものになっている
し、取り敢えず次回作にも期待することにしよう。

『フロスト×ニクソン』“Frost/Nixon”
1974年8月9日、アメリカ史上初の自ら職を辞した大統領と
いう不名誉を纏ってリチャード・ニクソンはホワイトハウス
を後にした。その生中継を観た視聴者は全世界で4億人。コ
メディアン出身のテレビ司会者デイヴィッド・フロストもそ

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01月25日(日)
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