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On the Production
by 井口健二
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■第173回
のは賞には似合わないという意見は根強いようで、それも仕
方ないところだろう。
 なおアニメーション賞候補には、ディズニーの“Bolt”、
ドリームワークスの“Kung Fu Panda”、ディズニー=ピク
サーの“Wall-E”が挙げられており、“Bolt”と“Wall-E”
は主題歌賞の候補にもなっている。“Wall-E”は期待の作品
賞候補にはなれなかったが、オスカーはどうだろうか。
        *         *
 ここからは制作ニュースを紹介しよう。
 その最初は新しい情報で、ジョニー・デップ主宰の製作会
社インフィニタム・ニヒルが、ニック・トーシュ原作による
“In the Hand of Dante”という作品の権利を獲得し、デッ
プ主演で映画化すると発表した。
 原作は、ジャーナリスト、詩人でもある作家のトーシュが
2002年に発表した長編小説で、シチリア島で発見されたダン
テの遺稿かも知れない文書を巡って、その真贋鑑定を依頼さ
れた作家(トーシュ)とギャングらによる文書の争奪戦、さ
らに13世紀、失意の中で最後の作品『神曲・天国編』の執筆
に挑むダンテの姿が描かれているとのことだ。なお原作は、
2005年『ダンテの遺稿』の邦題で翻訳もされている。
 その作品をデップの主演=トーシュ役で映画化するという
計画で、デップは自己資金で映画化権を獲得したとのこと。
従って映画化はデップの希望通りに行えるものだが、一方、
ニヒル社はワーナー及びグラハム・キングのプロダクション
と優先契約を結んでおり、映画が完成すれば配給はワーナー
で行われることになるものだ。
 ただし、原作は時間軸が縦横に交錯するなど、かなり難解
な構成を採っている作品のようで、それを映画の構成に変換
するためには相当の手腕が必要とされている。監督、脚本家
などはまだ発表されていないが、その人選にはかなり慎重を
要することになりそうだ。
 因に、デップの出演計画では、ティム・バートン監督によ
る“Alice in Wonderland”の撮影は完了しているようで、
続いて3月からこれも作家の役に扮する“The Rum Diary”
の撮影が予定されている。そしてその後には、またもやバー
トン監督で、今年6月15日付第161回などで紹介した“Dark
Shadows”の映画化計画が急浮上してる。
 この最後の情報は、映画製作者リチャード・D・ザナック
の発言によるもので、1960年代の人気テレビシリーズの映画
化に関しては、『チャーリーとチョコレート工場』などのジ
ョン・オーガストによる脚本がすでに出来上がっているとの
こと。そしてザナックの口振りでは、“The Rum Diary”に
続いての製作が実現しそうな感じのようだ。
 なおデップには、この他に“The Lone Ranger”のトント
役、ゴア・ヴァビンスキー監督のアニメーション“Rango”
の声優、さらに“Sin City 3”“Shantaram”に、“Pirates
of Caribbean”の続きなど、発表されている計画は枚挙に暇
のないものだ。
        *         *
 5月15日付第159回でも紹介したホラー映画の老舗ハマー
・フィルムスの復活に関して、新たに“The Resident”とい
う作品を来年5月に撮影することが発表された。
 同社からは、すでに復活第1作となる“The Wake Wood”
という作品の撮影完了も報じられているようだが、さらに、
今回はその第2作となる計画が報告されたものだ。そしてそ
の作品に、アカデミー賞2度受賞ヒラリー・スワンクの主演
が発表されている。
 この作品“The Resident”は、フィンランド出身で、ウィ
ル・スミスやエミネム、ビヨンセ、セリーヌ・ディオンなど
のMTVを手掛けた映像作家アンティ・J・ジョキネンが、
1998年にオリヴァ・ストーンが製作した『セイヴィア』の脚
本も手掛けたロバート・オアと共に執筆したオリジナル脚本
を、ジョキネンの長編監督デビューとして進めるもの。
 内容は、スワンク扮する女医がニューヨーク・ブルックリ
ンのロフトに引っ越してくるが、そこで彼女は新居にいるの
が自分だけでないことに気付く…。典型的なサスペンスもの

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12月15日(月)
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