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On the Production
by 井口健二
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■第171回
じられる。従って今回の映画化には、ブアマン自身も相当の
思いがありそうで、その完成に期待が膨らむところだ。
 なお、今回の映画製作はフランスで行われるが、ブアマン
と、2005年のCGアニメーション『ロボッツ』も手掛けたロ
ン・ミタ及びジム・マクレインによる脚本は英語で書かれて
おり、映画化は英語で行われる。また物語やキャラクターは
原作に沿うのでMGM版と似たものになるが、ミュージカル
にはしないとのこと。さらに製作費には2500万ドルが計上さ
れており、公開は2010年夏を目指しているそうだ。
 因に、ボウム原作の『オズ』シリーズは全14巻が発表され
ているが、MGM版及び今回の映画化は、ドロシーとトトが
活躍するその第1巻が対象とされているものだ。
        *         *
 もう1本は、ジョナサン・スウィフト原作の“Gulliver's
Travels”(ガリヴァー旅行記)を、ジャック・ブラックの
主演で、現代に再イメージして映画化する計画が発表されて
いる。
 1726年に発表された原作の映画化では、『ポパイ』などの
フライシャー兄弟が1939年に製作したアニメーション作品が
有名だが、実写でも、1960年レイ・ハリーハウゼン特撮によ
る“The 3 Worlds of Gulliver”なども作られている。この
他に、1902年にはジョルジュ・メリエスが映画化しており、
1977年のリチャード・ハリス主演作や、2005年にはIMax-3D
による作品もあるようだ。
 その原作から今回は、日本は年末公開予定の“Forgetting
Sarah Marshall”(寝取られ男のラブ♂バカンス)の監督及
び共同脚本を務めたニック・ストーラーと、『シュレック』
のジョー・スティルマンが脚色、『シャーク・テイル』のロ
ブ・レターマンの監督で実写映画化しようというものだ。
 この顔ぶれからは、コメディでの映画化が目指されている
と思われる。ただブラックの主演なら、小人の国リリパット
より、主人公がペットにされてしまう巨人の国ブロブディン
ナグの方が面白くなりそうだが、発表されているストーリー
はやはりリリパット国の物語のようだ。
 因にスウィフトの原作は、児童向けと言うより風刺文学と
しての位置付けが高いが、映画化はお子様向けであることが
多いし、今回もその類のものになりそうだ。でもこの顔ぶれ
ならそれなりに毒のある作品には成ってくれるのかな。撮影
開始は来年3月に予定されている。
        *         *
 おとぎ話の情報はここまでにして、次は久々のSF名作の
映画化計画を紹介しよう。
 作品はアイザック・アジモフ原作の“End of Eternity”
(邦題:永遠の終わり)。実はこの計画に関しては、2003年
11月15日付の第51回でも1度紹介しているが、その時のパラ
マウントとクルーズ/ワグナーの企画は実現に至らなかった
もので、今回は新たにニュー・リジェンシーが権利の獲得を
発表した。
 物語は、以前にも紹介したように、タイムトラヴェルが一
般化し、歴史の改変を防ぐ時間管理機関の創設された時代を
背景に、管理機関の担当者が歴史上の人物を愛してしまった
ことから問題が発生する…というもの。アジモフの作品では
珍しい時間テーマの長編で、以前の紹介の時点では、パラマ
ウントが計画中だったマイクル・クライトン原作の『タイム
ライン』に続く時間ものとして期待されていたものだ。
 その作品の映画化権が、今回は1992年の『透明人間』や、
今年春に公開された『ジャンパー』などを製作した会社と契
約されたもので、同社はまず監督の選考に入るとしている。
なお脚本家は監督の意向にしたがって決定するとのことだ。
 因にアジモフの原作では、“The Foundation Trilogy”の
映画化についても、今年8月1日付第164回で紹介したばか
りだが、1955年に発表された本作は、広くはその『ファウン
デーション』シリーズにも組み込まれる作品とのことで、こ
れから相互の関係も面白くなりそうだ。
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11月15日(土)
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