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On the Production
by 井口健二
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■シリアの花嫁、蘇る玉虫厨子、アンダーカヴァー、鎧−サムライゾンビ−、その男ヴァン・ダム、ミーアキャット、無ケーカクの命中男、斬
ただ目分量でその大きさを見取ったり、もちろん文化庁など
の調査の資料はあるのだろうが、ほとんどの部分は職人たち
の勘によって再現が行われて行く。
その中では、完全に消えてしまっている蒔絵の部分を他の部
分から類推したり、また文献の残っていない玉虫を貼り付け
る技術などは今回新たに開発されて行くことになる。こうし
て約6年の歳月を経て、昨年末に完成、今年3月法隆寺に奉
納されるまでが描かれる。
その一方でこのプロジェクトは、この復元作業で得られた技
術を許に新たな「玉虫厨子」を創るという計画も並行して進
められ、そこでは蒔絵の中にも玉虫が飾られた、「平成・玉
虫厨子」も完成される。
ただし、中田金太氏は昨年6月に逝去。2つの厨子の完成を
観ることはできなかったが、その意志は見事に後世に残され
ることになったというものだ。
『アンダーカヴァー』“We Own the Night”
1988年のニューヨークを舞台に、進出の始まったロシアンマ
フィアと警察の攻防を描くアクション作品。
『ウォーク・ザ・ライン』でオスカーの主演賞候補になった
ホアキン・フェニックスと、『ディパーテッド』で同じく助
演賞候補のマーク・ウォールバーグが、以前に共演した『裏
切り者』のジェームズ・グレイ監督と再度組んだ作品で、2
人の俳優は製作も買って出ている。
フェニックスが演じるのは、育て親でもあるロシア人の許で
ブルックリンのクラブを任されているちょっとやくざな男。
『ゴースト・ライダー』などのエヴァ・メンデス扮する恋人
もいて、その界隈でも実力を着けてきている。
しかし彼には、恋人以外には明かしていない秘密がある。そ
れはロバート・デュヴォール演じる彼の父親が伝説とまで言
われるニューヨーク市警察の警視監であり、ウォルバーグが
演じる兄がエリート警官であることだ。
そしてその兄が、進出の始まったロシアンマフィアの活動を
取り締まる部署のトップに就任し、その祝賀パーティに恋人
と共に出席した弟は、父親と警察の幹部たちから捜索への協
力を要請される。そこは、自分たちは潔白だとしてその要請
を断る弟だったが…
ドラッグ関連の捜査でのアンダーカヴァー(潜入捜査)は最
も危険な捜査と言われているようだが、この作品では、そこ
に至る経緯やその後の保護プログラムの様子などが手際よく
描かれている。そしてその展開は、僕の目にはそれほど破綻
なく描かれているように観えたものだ。
まあこの種の映画はその展開が眼目だし、その点がクリアさ
れていれば物語的にはそれでよしとしたい。それに加えて本
作では、豪雨の中のカーチェイスなどのアクションも巧みに
描かれていた。
興味のある人には充分に楽しめると思うし、興味がなければ
始まらないが、まあそういう作品というところだ。因に本作
は、昨年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門にも選
出されている。
それからホアキンは、最近俳優業の廃業を宣言したようで、
日本では先に公開された『帰らない日々』(5月16日付で紹
介)と、同じくジェームズ・グレイ監督の“Two Lovers”と
いう作品で最後になるようだ。
『鎧−サムライゾンビ−』
『VERSUS』の北村龍平が原案・脚本・製作を担当し、
『魁!!男塾』の坂口拓が監督したスプラッターアクション。
舞台挨拶付きの試写会だったが、血糊を1t使用したとか、
それでも足りなくて追加したとか、スプラッターには付き物
の話題が提供されていた。実際、映画の中では、首が飛ぶ度
に3m近い血飛沫が噴き出す演出で、1tが使われた可能性
はありそうだ。
お話の舞台は現代。夫婦と子供2人の4人家族がドライブし
ていると、2人組のピストルを持った男女に襲われる。そこ
に3人目も現れて、父親の運転する車は、その3人目を轢い
た上に立入禁止のバリケードに突入、さらに山路へと進んで
行くが…
一方、強盗事件の捜索に駆り出された2人の警官が突破され
たバリケードを発見し、パトカーでその奥へと進んで行く。
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11月09日(日)
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