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On the Production
by 井口健二
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■ワンダーラスト、アイズ、天使のいた屋上、猫ラーメン大将、未来を写した子どもたち、ワールド・オブ・ライズ、ホルテン、チェチェンへ
掛けは満載で、それは楽しめるようになっている。そしてそ
の恐さという点では、甲乙付けがたいという作品だろう。
主演は、『シン・シティ』などのジェシカ・アルバ。それに
『GOAL!』のアレッサンドロ・ニヴォラ、『スーパーマン・
リターンズ』のパーカー・ポージーらが共演。
監督は、今春に日本公開された『THEMゼム』のダヴィッド・
モロ&ザヴィエ・パリュ。脚本は、ベネズエラ出身で2003年
『ゴシカ』などを手掛けたセバスチャン・グティエレスが担
当している。
オリジナルは、確か続編も作られたはずだが本作はどうなる
かな。それから本作の製作は、トム・クルーズの盟友ポーラ
・ワグナーが担当しているものだが、本作にクルーズの出演
はなかったようだ。

『天使のいた屋上』
本作の原作は、女子中高生対象の携帯小説サイトで映画化を
前提として募集された作品とのことだ。以前にも同様の経緯
で製作された映画を紹介したことがあるはずだが、今回はそ
のときとは別の製作会社の作品で、こういう動きがいくつも
進んでいるようだ。
それに前回の時は、ちょっとファンタスティックなテーマの
物語だったが、今回はそれなりに現実的な内容で、募集して
いるサイトによってテーマの方向性が異なるのも、良い傾向
のように感じられる。
その本作の物語は、とある高校が舞台。主人公の男子生徒が
授業をサボり、音楽を聴きにやってきた立入禁止の校舎の屋
上で、周囲の風景を写メしている女子生徒に出会う。
その主人公はサッカー部員だったが、ある事件によって部は
休部になっているらしい。そのため目標を失った主人公は、
授業もサボり勝ちになっているのだが、屋上での女子生徒と
の交流が、彼に新たな目標を見出させるようになって行く。
自己責任以外の原因で長年の目標が失われるというのは辛い
話だが、集団スポーツなどではかなり起り得る話なのかも知
れない。そんな学生生活に起り得る話を、上手く物語に取り
込んだ作品ということは言えそうだ。
ただし本作では、その元になる事件が謎解きのように徐々に
明らかになる構成となっているのだが、本作の全体の物語の
中で、主人公が屋上にいる理由まで謎解きの対象する必要が
あったかどうか。これは前提として描いた方が良かったので
はないかと感じた。
実際、物語では後半にいろいろな事実が明らかになり、特に
AEGNの英文字の使い方は上手くできているものだが、前
半から謎だらけの展開が全体の謎解きの興味を散漫にしてし
まっているようにも思えた。
その辺の脚色にはもう少し工夫が欲しい感じはしたが、全体
的には、いろいろ考えて作られた作品で、特に中高生の生に
近い声が聞けるということでは、企画として大事にしたいも
ののようにも思える。
出演は、『トウキョウソナタ』などの小柳友、『恋空』など
の波瑠。監督は、ドキュメンタリー出身の高木聡が担当して
いる。

『猫ラーメン大将』
『日本以外全部沈没』などの河崎実監督の新作。河崎監督に
は『いかレスラー』『コアラ課長』など着ぐるみを用いた一
連の作品があり、本作はその流れで猫がラーメン屋の大将に
なるというものだ。
主人公の大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)
はキャットアイドル(2世)の息子だったが、父親のスパル
タ教育に耐え切れずアイドルの世界を飛び出す。そして職を
転々とし、挫折して橋の欄干に佇んでいるところをラーメン
屋の親父に救われる。
その親父が作ってくれた一杯のラーメンに感激した大将は修
業を積み、ついには自らラーメン屋を開店するまでになる。
その店は大将にアイドル的な人気も出て順調な営業となるが
…。その近所に派手なパフォーマンスが売りの「猫ラーメン
将軍」なる店が開店する。
この大将と将軍が、スーパー・ギニョールと称する要はパペ
ットで操演され、それに人間の俳優たちが絡む作品となって
いる。ただし、一部の町を歩くシーンなどでは操作棒を消す
程度のVFXは使われていたようだ。と言っても画面の一部

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10月12日(日)
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