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On the Production
by 井口健二
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■そして私たちは愛に帰る、TOKYO JOE、デス・レース、永遠のこどもたち、ティンカー・ベル、ディー・ウォーズ、ラット・フィンク
しかし当初のエトーは捜査に対して完全黙秘。ところがその
直後にエトーに対して起きた暗殺未遂事件が彼の態度を一変
させることになる。
という事件の顛末が、主にはスミスへのインタヴューによっ
て明らかにされて行く。この他、エトーの実弟や、息子、さ
らにはエトーが晩年を過ごしたホスピスの近所に住む隣人へ
のインタヴューなども公開される。
しかし、この捜査官以外の人々へのインタヴューはかなり困
難を極めたようで、マフィアに関係するというだけでほとん
どの人は協力を拒否したとのことだ。そんな困難さのせいも
あるのかも知れないが、作品は残念なことに充分なものには
なっていない。
実際、描かれるのはほとんどがスミスの発言だけで、その裏
付けさえも取れてはいない。確かに日本人収容所などの記録
映像などは挿入されるが、それがエトーに直接結びつくもの
ではないし、ましてエトーが収容所に入るのは1942年、20歳
を越えているのに、子供が相撲を取るシーンでもないだろう
という感じのものだ。
そんなことで作品の出来は不満足なものだし、また、証言を
拒否する人たちへの反発なのか、エトーの存在が美化されす
ぎている感じがあるのも気にはなってしまうところだ。
とは言え、やったことの是非はともあれ、このような隠され
た人物に光を当てたことの意義は感じられる作品。次にはこ
の企画をハリウッドに持ち込んで、ドラマで映画化してもら
うのが、取材を活かす上で最良の方法だと思うところだが…
『デス・レース』“Death Race”
1975年に公開されたロジャー・コーマン製作作品『デス・レ
ース2000年』のリメイク版。
デイヴィッド・キャラダインのフランケンシュタイン、シル
ヴェスター・スタローンのマシンガン・ジョー役で製作され
たオリジナルを、ジェイスン・ステイサム、タイリース・ギ
ブスンの共演で再映画化したもの。
オリジナルは、競技の一環として人間を轢き殺すシーンが登
場するなど、当時としてはと言うか、今ではなおさら描写で
きないくらいに過激な作品。その辺が当時のコーマン作品の
魅力だったとも言えるアナーキーな作品だった。
そのリメイク版は、『バイオハザード』や『AVP』のポー
ル・W・S・アンダースンの製作、脚本、監督により作られ
た。オリジナルがただ過激だった作品に対して、本作では設
定をしっかり作り上げているところはゲームの映画化で磨い
た腕と言えそうだ。
その設定は、犯罪者の増加で刑務所が民営化され、その経費
稼ぎのために過激なレースが運営されているというもの。そ
のPPVの実況中継で金を集める訳だが、3日間250ドルの
視聴者が最終的には7000万件というのだから、これはいい稼
ぎだ。
そしてそのコースは監獄島の中を周回するのだが、そこには
仕掛けが一杯と言うことで、マリオカート並の踏んだら武器
が使えたり、障害が飛び出したりといったお話になる。
コーマンのオリジナルは、過激な描写をブラックコメディと
して成立させていたが、本作は純粋にアクション。つまり、
過激な描写をアクションで納得させようとの考えのものだ。
そこに上述の過激シーンがオマージュのように登場するのも
ニヤリとさせられた。
共演は、オスカーに3度ノミネートのジョアン・アレンと、
ゴールデングローブ賞受賞者のイアン・マクシェーン。他に
モデル出身のナタリー・マルティネスが華を添える。
オリジナルに観られた自動車の奇抜な造形のような笑いの要
素は希薄だが、その分、アクションはかなりの迫力で描かれ
る。工場街を突っ走るレースということでは、よく似た日本
映画もあったが、CGIの使い方などはさすがハリウッド映
画という感じがした。
マリオカート的な設定は基本的にお笑いの要素と考えられ、
他にも英語と中国語の字幕の使い分けなど笑いの部分が点々
と設けられている。それから映画の最後には、アンダースン
作品らしく続編への布石も打ってある。クレジットの終わり
まで席は立たないように。
『永遠のこどもたち』“El Orfanato”
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09月28日(日)
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