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On the Production
by 井口健二
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■ファニー・ゲームU.S.A.、ぼくのおばあちゃん、むずかしい恋、カフェ代官山2、反恋愛主義、バンク・ジョブ、252(追記)
ームドラマが少なくなった」と嘆いていたが、核家族社会の
日本の現実では、親子3代のようなホームドラマを作り難い
のは確かだろう。そのホームドラマの欠如がまた、核家族社
会を生み出しているとも思える。
そんな中で本作では、現代と過去のカットバックという手法
の中でホームドラマを描いているものだが、同じ手法を繰り
返しては使えないにしても、何か方法でホームドラマを作り
続けるのも重要なことのように思えてきた。
共演は、岡本健一、原日出子。また主人公の子供時代を伊澤
柾樹と吉原拓弥が演じている。他に、柳葉敏郎、加藤貴子、
清水美沙、石橋蓮司らが出演。なお、出演者も登壇した試写
会の舞台挨拶では、ギネスの認定証の授与式も行われた。

『むずかしい恋』
行定勲監督の『きょうのできごと』などを手掛けた脚本家の
益子昌一による監督第1作。多分ビルの1室で営業している
らしいバーを舞台に、4組の恋物語が展開する。
その店のバーテンダーは元クラシックバレーのダンサー。彼
は怪我が元で舞台を降りたが、その舞台には実は未だやり残
したことがあるようだ。そんな彼のいるバーには、その日も
いろいろな男女が集まってくる。
最初に来たの女性客。彼女はボックス席で連れの男性を待っ
ていたが、読みかけの本にはあるものが挟まっていた。続い
て来たのは風俗関係らしい女性。彼女はカウンターに座り、
馴れ馴れしい態度でバーテンダーに話しかける。
次に来たのはカップル。ボックス席に座った2人は、男性が
しきりと女性を口説いているが…。そして最初の客の連れが
現れ、さらにカウンターの隅で本を読み続ける女性客と、恋
人に振られて自棄酒に酔い潰れ気味の若者も入ってくる。
こんな男女8人がいろいろな恋模様を描き出して行く。正直
に言って他愛ない話がいくつも並行して語られて行く作品。
だからどうという話でもないし、お話自体も有りそで無さそ
で…そんな緩くて甘いお話のオンパレード。
でもこの作品の根底には、何か人に対する信頼のようなもの
が流れ、それ自体が古臭いかも知れないようなノスタルジー
を感じさせる物語になっていた。それはバーという雰囲気が
醸し出すものかも知れず、そんな世界がまだ有るのなら、い
まさら恋という年でもないけれど、自分も浸ってみたいよう
な感じもしたものだ。
そんなバーの片隅に自分も座って彼らを見ているような、そ
んな何か不思議な雰囲気を持った作品でもあった。
出演は、『愛流通センター』などの水橋研二、『グミ・チョ
コレート・パイン』の璃乃亜と森岡龍、放送中の「仮面ライ
ダーキバ」でヒロイン役の柳沢なな、『風の外側』の安藤サ
クラ。他に、前田綾香、載寧龍二、三浦誠己ら。
水橋と三浦以外は20代前半から半ばの俳優たちだが、良い雰
囲気の演技を観せていた。

『カフェ代官山2』
今年2月に紹介した『カフェ代官山』のパート2。前作で主
人公たちが集ったカフェの誕生までの物語が、前作のキャス
ティング全員の再登場で描かれる。監督は前作と同じく武正
晴。脚本も前作を手掛けた金杉弘子。
物語は前作の3年前が始まる。ディスコで派手に踊っていた
響はチンピラに絡まれ、逃げているところをマスターに救わ
れる。しかし怪我を負ったマスターを背負って辿り着いたの
は、「レーブ・コンティニュエ」という看板の掛けられた古
びたカフェだった。
そこでマスターの様子を看ながら一夜を過ごした響は、マス
ターに煽てられるままにコーヒーを入れ、ケーキを作って、
そのままその店で働くことになってしまう。そして、そこに
は未琴や鈴太郎も集まってくる。
こうしてカフェは活気付いて行くが、マスターと親友の夢は
まだ実現していなかった…。ということで、ここに若き日の
マスターの夢を描いた物語まで登場して、響、未琴、鈴太郎
らの背景の物語と共に盛り沢山に描かれて行く。
しかもその間には、ケーキ作りやダンスや琴の演奏まである
のだから、上映時間68分の中に、よくもまあこれだけ詰め込

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09月21日(日)
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