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On the Production
by 井口健二
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■臨時号(夏休遠征報告)
ここには、以前にカミオカンデに向けた射出実験を行った
全周3kmの加速器があり、現在はBelle実験と呼ばれる2重
逆回転の加速器で素粒子を正面衝突させる実験施設や、直線
型加速器、前段加速器などが、当日は夏期のメンテナンス中
とのことで、その研究施設の一部も含め見学できた。
その中では、高圧施設の付属する前段加速器が、正に鉄腕
アトムに出てくる実験装置そのもので、その側に天馬博士が
立っていそうな雰囲気のもの。手塚氏が何処でそのイメージ
を得たかは知らないが、最先端の科学施設にノスタルジーを
感じるのも不思議な感覚だった。
この他、Belle実験施設では、正に粒子が衝突する部分と
その周囲に設けられたセンサーの塊のような設備も見せても
らったが、そのデータを記録するためにソニー製の磁気テー
プを使ったデータ記憶装置が設けられており、大量データの
記憶に今でもテープが用いられていることには驚かされた。
小型ベータカムのテープカセットのようなものが大量に用意
されおり、ここではまだテープも有効なようだった。
以上のような施設を見学した後に、研究者の方との懇談会
となったが、ここではX線の研究者にX線砲の可能性を質問
して、SFは読まないという真面目そうな研究者の方が立ち
往生するというハプニングもあった。しかし、これに対して
SFファンの研究者の方たちが喧々諤々の論議を始めること
になり、その結論は、実用化は難しいとのことだったが、普
段はそのような論議をすることがタブーなのか、勢い込んで
議論している姿は面白かったものだ。
その後の帰路は、ゲリラ豪雨でつくばエクスプレスが一時
止まるなどのアクシデントはあったが、概ね楽しい見学旅行
となりました。ご案内をいただいた関係者の皆様に感謝申し
上げます。ありがとうございました。
* *
さてその週末22日−25日には、日本SF大会(DAICON-7)
の会場内で行われるSF作家クラブ総会の出席と、日曜日の
鳥栖での試合の応援を目指して、関西−九州方面に向かうこ
とにした。この旅行は、春先に行った熊本遠征と同じく青春
18切符を使ってのものだ。
そこでまず、今回の往きのムーンライトながらは23日0時
31分の出発となる小田原からの乗り込みとしたが、ゲリラ豪
雨を心配して少し早めに乗った小田急は定刻で、小田原駅で
は同じ目的の旅行者も数人いて改札も順調、その後の大垣、
米原での乗り継ぎも2度目は慣れたものになった。
そして大阪での最初の目的地は中之島の大阪市立科学館。
ここには、東洋最初のロボットと言われる「学天則」が復元
展示されている他、オムニマックスが常設されていることか
ら、DAICON-7の行われている岸和田に向かう前に寄ってみる
ことにしたものだ。
この科学館へのアクセスは大阪市営四つ橋線の肥後橋から
となるが、まずその日の夜に乗る博多行き夜行バスの集合場
所を確認してから西梅田駅に行ってみると、何と1駅なの運
賃200円。でも歩くには時間が足りなかったのと、その後に
岸和田に向かうのにもその駅を利用することから場所確認も
兼ねて乗車したが、都営地下鉄以上の料金には驚かされた。
その市立科学館で、「学天則」は入り口の直ぐ横に設置さ
れており、時間の都合で動くところは観られなかったが、さ
らにその横にあったルービックキューブを早解きするロボッ
トの動きには感心させられた。また展示室には、昔テレビ番
組のディズニーランドで観た「ネズミ取りとピンポン玉」に
似た連鎖反応の説明装置があって、これも懐かしく感じられ
たものだ。
そしてオムニマックスのシアターでは、『アルプス〜挑戦
の山〜』(The Alps)という作品を鑑賞した。この作品は、
アイガー北壁の登頂を描いたドキュメンタリーで、包み込ま
れるようなドームスクリーンで大自然の景観を鑑賞するのは
格別の趣があった。ただし、ここでは8月1日付第164回で
予告編を報告した3D映画『シーモンスター』も上映されて
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09月10日(水)
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