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On the Production
by 井口健二
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■釣りバカ日誌19、ザ・フー:アメイジング・ジャーニー、中華学校の子どもたち、秋深き、DISCO、懺悔、パリ
従ってThe Whoは、3人の天才と1人の歌手で成立したとも
言われるようだが、このためリーダーでもあるロジャーと他
の3人、特にピートとの間にはいろいろな確執が生まれるこ
とになる。それは、特にロジャーだけがドラッグを拒否した
ことにも拠るようだ。
それでも、『トミー』の大ヒットなどでシンガーとしての地
位も確立して行くロジャーだっが、そんな中で1978年にキー
スがドラッグの過剰摂取と思われる状態で死去。1982年には
The Who解散へと事態は進展して行く。
ところが、The Who時代からの浪費癖が収まらないジョンが
破産などを繰り返し、見兼ねたロジャーとピートがその救済
目的で復活コンサートなどを開く。しかしジョンは立ち直ら
ず、2002年にラスヴェガスのホテルで死亡。
その後は、確執も消えたロジャーとジョンを中心にThe Who
は復活し、今年は世界ツアーの中、日本公演も予定されてい
るようだ。
と、まあ何とも壮絶なバンドの歴史が、かなり初期から記録
されているライヴ映像や、その時々のマネージャー、さらに
スティングら、The Whoに影響を受けたと公言するミュージ
シャンたちの証言も交えて、2時間たっぷりと魅せてくれる
作品だ。
監督は、『毛沢東からモーツァルトへ』で1980年のオスカー
を受賞したマーレイ・ラーナーと、2005年11月紹介した『ロ
ード・オブ・ドッグタウン』の基になったドキュメンタリー
“Dogtown & Z-BOYS”のポール・クロウダー。2人の共同で
強力な作品が作られている。
『中華学校の子どもたち』
横浜中華街に在る台湾系の横濱中華學院と、その山手の丘に
在る大陸系の横浜山手中華学校。この内の山手中華学校を中
心に、現代華僑の子供たちを描いたドキュメンタリー。
中華学校は、孫文の思想に基づいて世界中に進出した華僑の
子供たちが中国文化を継承することを目的に設立されたもの
で、日本の学校でも春節の獅子舞など中国独特の文化を伝え
る場となっている。
そんな文化継承の場として設立された学校だが、1949年の中
華人民共和国成立の際には台湾系と大陸系が対立し、1952年
に台湾系による横濱中華學院の封鎖、臨時教室による山手学
校の開校などが起きている。
その対立も今では両陣営の歩み寄りなども在るようだが、依
然として横浜には2つの中華学校が存在しているものだ。
というような内容を描いた作品だが、監督したのは岡山県出
身の日本人だが北京電影学院導演系に学んだという人で、そ
の視点はどちらかというと大陸系に寄っているようにも感じ
られた。
まあ、この種の題材で完全に公平というのはなかなか難しい
とは思うが、特に学校封鎖時の日本官憲の介入を繰り返し述
べる辺りは、多少奇異にも感じられたものだ。
因に撮影は、山手学校の全面協力の下で行われているが、エ
ンドクレジットでは「感謝」として横濱中華學院の名前も挙
がっており、取材は両校に行われているようだ。後は監督の
考えということだろう。
そしてその歴史以外では、主に子供たちの郊外学習などが描
かれているものだが、これが何というか通り一遍な感じで、
その辺の落差も気になった。実際この子供たちを写した映像
は、学校のPR映画を観ているような感じで、作品の全体的
な印象もそれに近い。
学校のPRが目的ならこれでも良いかも知れないが、華僑で
ない日本人を観客とするなら、もっと違う部分も見せて欲し
かった。特に監督自身が北京在学中に感じたと言う反日の部
分も見たかったし、それがなかったのなら、その無いという
事実も踏まえたものを描いて欲しかったところだ。
『秋深き』
「夫婦善哉」などの織田作之助による1942年作品「秋深き」
と1946年作品「競馬」を原作とする映画化。純朴な高校教師
がホステスに恋をし、ホステスも彼の純朴さに曳かれて結婚
するが…
原作は読んでいないが、何時の世にもこういう物語はあると
言うことだろう。物語に織り込まれる霊感商法や怪しげな民
間療法が原作にあるのかどうかも知らないが、この種の物語
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09月07日(日)
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