ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460281hit]

■悪魔のリズム、かけひきは恋のはじまり、ハピネス、櫻の園、最後の初恋、初恋の想い出
ファンとして、最初から最後まで楽しい笑いの連続だった。
特にドッジが繰り出す作戦は、今やったら永久追放もので、
正に奇想天外。これが通用したのもこの時代ということだ。
共演は、カーター役が『シュレック3』でランスロットの声
優を担当したジョン・クランスキー。他に、『未来世紀ブラ
ジル』などのジョナサン・プライス。また、酒場のピアノ奏
者役で本作作曲家のランディ・ニューマンが出演している。
因に原題は、当時の選手が装着していた革製のヘッドギアの
ことで、アメフットがまだヘルメットを付けていなかった時
代のお話だ。さらに、禁酒法下のモグリ酒場や、女性の社会
進出などの当時の時代背景が描かれる。

『ハピネス』“행복”
9月下旬開催の「韓流シネマ・フェスティバル2008」で
上映される作品の1本。2001年の東京国際映画祭に出品され
た『春の日は過ぎゆく』などのホ・ジノ監督の新作。
都会で放蕩な暮らしをしていた男が、肝硬変の治療のための
山間の療養所にやってくる。そしてそこに先から居た女性と
出会い、愛し合うようになった2人は療養所を出て一緒に暮
らすことになるが…やがて病の癒えた男性は、その暮らしが
退屈になる。
ホ・ジノ監督の作品は、『春の日…』しか観ていないが、監
督デビュー作の『8月のクリスマス』は日本版リメイクを観
ているものだ。そのいずれも、静かに男女の愛の行方を見詰
めるような作品で、その淡々とした映像が魅力の監督と言え
る。
その監督の新作の描く舞台は、療養所という特殊な環境では
あるが、そこで繰り広げられる愛憎劇は普通と変わるもので
はない。しかし、登場人物には病気という事実が重くのしか
かり、そこは、はらはらしたり、ほっとしたりという展開に
なる。
因に、本作は実話に基づく脚本だそうだが、その実話は山間
で静かに暮らす男女の話とのことで、もちろん映画のような
男性の話ではないようだ。元々ホ・ジノ監督の作品でも、こ
のように崩れた男の設定は珍しいようだが、主演のファン・
ジョンミンはそんな男性の2面性のようなものを見事に演じ
切っている。
男性の目で観ると、可憐な女性にこのような仕打ちは単純に
許せないと思うところではあるが、そんな男も居るだろうこ
とは理解の外ではないものだ。物語はその程度にリアルでは
あるし、それでも待ち続ける女性の姿には、憧れも感じてし
まうものでもある。そんな見事な物語と演出が、監督に賞を
もたらしてもいる作品だ。
共演は、ホラー映画『箪笥』で人気を得たイム・スジョン。
薄幸の女性を丁寧に演じている。他に、『M』でも似たよう
な役柄を演じていたユン・ヒョジンも出演している。
難病ものといういうことでは簡単な括りになるが、その病が
癒えることによって始まる悲劇というのは、新たな観点のよ
うにも思える。そんな物語が、ソウルの夜と全羅北道の山村
を舞台に展開される。
なお、本作の10月3日、4日の上映では、ホ・ジノ監督出席
によるティーチ・インも行われるようだ。

『櫻の園』
1985−86年に、白泉社発行の雑誌「LaLa」で連載された吉田
秋生原作・少女漫画の映画化。
同じ原作からは1990年に一度映画化があり、今回はそのとき
と同じ中原俊監督が、物語を現代化してリメイクした。ただ
し、原作そのものがオムニバスでいろいろな物語があるとの
ことで、今回の映画化は1990年版とは全く異なる展開となっ
ているようだ。
本作の主人公は、天才少女ヴァイオリニストとして将来を属
望され、特別な環境で育ってきた。でも、そこは現代っ子、
自分の置かれた環境に反発して、地方都市にある名門の女子
高に編入してくる。
その学校は、伝統を重んじる古風な場所だったが、母親と姉
が優秀な卒業生であり、彼女の音楽の才能も認められて特別
に編入が許されたものだ。しかし、その環境にも最初は馴染
めない主人公だった。
ところがふと立入禁止の旧校舎に潜入した主人公は、そこで
表紙に『桜の園』と書かれた舞台の台本を見付ける。それは

[5]続きを読む

08月31日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る