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On the Production
by 井口健二
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■キズモモ、東京残酷警察、シルク、ワイルド・バレット、女工哀歌、春琴抄、ゾンビ・ストリッパーズ、文七元結
されて、なかなか実現できないそうだが、それを本作では海
外資本の導入によって、規制なしの過激な描写を可能にして
いる…というもののようだ。
ということで、好きな人には堪らない作品となりそうだが、
取り敢えずは思い切りやらせてもらえた監督には嬉しかった
作品のようだ。なお初回の試写会には監督も立ち会っていた
が、終った後も満足そうだった。
それで観客も、その勢いに乗って観ていればいいという感じ
の作品で、七面倒くさいことは考えずに、ニヤニヤケラケラ
と笑っていれば良い。それができない人は、最初からこの作
品の観客対象ではなかったというものだ。
ただし、間に挟まるフェイクのCMなどには、かなり痛烈な
社会批判のようなものも含まれていて、それはそれでこの映
画の気に入ったところでもあった。
『シルク』“詭絲”
8月23日から開催される台湾シネマ・コレクションで上映さ
れる内の1本。2006年台湾映画興収第1位を記録した作品。
『レッド・クリフ』にも出演のチャン・チェンと、日本から
江口洋介の共演で、死後世界に取り憑かれた科学者を描く。
物語は、白人のカメラマンが台湾のアパートで幽霊を撮影す
るところから始まる。その撮影成功の知らせに、直ちにその
周囲には立入禁止の処置が施され、江口扮する科学者を中心
としたチームが乗り込んでくる。
一方、チャンが扮するのは警察の特捜班の刑事だが、彼には
ちょっと特殊な能力があるらしく、捕獲した幽霊の調査のた
めに現場に呼び寄せられる。そして、読唇術なども使って幽
霊の正体を調査して行くことになるが…
物語の背景には、人体の発する精神エネルギーを活用して、
反重力などを開発しようとする日本政府のプロジェクトがあ
り、日本政府の圧力の下で事件が動かされるという特殊な状
況も垣間見させる。
実は作品は、台湾製作のホラー大作として話題になったもの
で、一昨年の東京国際映画祭でも上映されたがスケジュール
の都合で観られなかった。おそらく日本公開もすぐに行われ
るだろうと思っていたが、今になってしまったものだ。
日本の公開が遅れた理由は、ホラーブームが下火になったこ
となどもあると思われるが、本作はチャンによるアクション
の要素もあって、映画全体は観客を飽きさせない面白い作品
になっている。
それに、英語、中国語、日本語などの台詞が次々に発せられ
るのも面白いところで、しかも相互に理解しているという設
定は、それなりに納得もできたものだ。
ただ、物語の展開の中では反重力などのSF的な要素が充分
に消化し切れておらず、その辺がSFファンとしては不満足
なところもあって、ホラーの部分とのバランスが上手く取れ
ていない感じはした。
とは言え、劇中には結構見事なVFXなどもあって充分に楽
しめる作品ではあった。
『ワイルド・バレット』“Running Scared”
『ワイルド・スピード』などのポール・ウォーカー主演によ
るアクション映画。
主人公は、犯罪に使われた銃器の始末をする係のチンピラだ
ったが、ある日、警官殺しに使われ始末を依頼された小型拳
銃が隣家の子供に持ち出され、虐待する親に向けて発砲され
てしまう。しかも、その子供は拳銃を持ったまま行方をくら
ませてしまう。
この事態に、拳銃の取り戻しと証拠の隠滅、さらに息子の親
友でもあるその子の発見救出のために主人公は行動を開始す
るが…。これに、警察や地元のヤクザや、地元に進出を図る
ロシアマフィア、その他の有象無象が関って、事件はあらぬ
方向に進展する。
ヤクザな主人公が子供を救うために活躍するというお話はい
ろいろあると思うが、本作の物語は、その発端は特殊であっ
ても比較的納得できるもので、しかも、現在のアメリカの抱
えるいろいろな問題が見事に描かれた作品でもある。
それはマフィアだけでなく、麻薬、ポン引きから幼児ポルノ
まで、正に現在アメリカの病巣が凝縮されているという感じ
もして、それは物凄い迫力で描かれていた。そのため、上映
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08月10日(日)
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