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On the Production
by 井口健二
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■クローン・ウォーズ、シャカリキ!、夢のまにまに、ハムナプトラ3、アキレスと亀、練習曲、ブロークン
で、映画の前半はよくあるパターンのスポーツものに終始し
てちょっとめげかけたが、後半は自転車の理論や、団体戦の
エース/アシストの役割や駆け引きなども丁寧に描かれて俄
然面白くなった。
実際のレースは2つ描かれるが、後半の山岳コースを含む個
人ロードレースのシーンは、実写された映像にもかなりの迫
力もあって、見応えのあるドラマになっている。ここでは、
ライヴァルとの駆け引きやレースの展開なども納得の行くよ
うに面白く描かれていた。
監督の大野伸介は、今村昌平から北野武、行定勲などの助監
を務めてきた人で、本作がデビュー作とのことだが、本人が
ロードレーサーに魅せられてしまったと言うだけあって、自
転車を愛情を持って捉えている感じなのも嬉しいものだ。
ただ、巻頭のシーンで、多分町並がCGIなのは良いとして
も、最後に合成までしてしまうのはちょっとやりすぎた感じ
がする。
それよりここは、この直線道路の全コースをワンカットで走
破するような映像があれば良かった。予算上の問題はあるか
も知れないが、前半を高速で下って、後半徐々に速度が遅く
なり、それでも坂を上り切る映像なら、掴みは抜群だと思っ
たのだが…
出演は、D−BOYSの遠藤雄弥、中村優一、鈴木裕樹。ヒ
ロイン役が南沢奈央。他に、小林裕吉、小柳友、池田哲哉、
坂本真が共演。さらに柄本明、温水洋一、中越典子、原田泰
造、中井美穂らが脇を固めている。

『夢のまにまに』
美術監督として長年日本映画を支えてきた木村威夫監督によ
る初長編作品。木村監督作品では昨年6月に短編の『馬頭琴
夜想曲』を紹介しているが、その折にも初長編を撮り終えた
ばかりとしていたその作品。
映画学校の学院長を務める主人公と、その学院の生徒との交
流を通じて、戦中、戦後の激動の時代を生きてきた男性のい
ろいろな思いが綴られて行く。そしてその学生が、ある日、
行方不明になるが…
物語の多くの部分は実話に基づいているようで、特に学生と
やりとりされる手紙は、実際の手紙の文面のままだそうだ。
従って物語はかなり私的な部分の多いものだが、それはまた
今年90歳の日本人男性の多くが体験してきた歴史でもあるも
のだ。
そこでは、戦争の悲劇や戦後の闇市での人々の交流が描かれ
る。木村監督は、戦前からの映画人であり、その人生の中で
は戦後の闇市などでも比較的裕福な環境で居られたもののよ
うだが、その辺も正直に語られている。
その一方で、現代の若者が陥る悲劇が、依然として戦争に繋
がっている点は、ここは多分木村氏の思い入れにもよるのだ
ろうが、実は自分の父親がほぼ同じ91歳を迎えている姿を見
ていると、戦争がこの人たちに残した心の傷の深さを思い知
らされる。
戦争は決して終戦によって終わるものではない…。そんなこ
とも訴え掛けているような感じのする作品にもなっている。
そんな思いを明瞭にするために、長野県上田市にある戦没画
学生慰霊美術館「無言館」もフィーチャーされている。
出演は、長門裕之、有馬稲子が主人公夫妻を演じ、主人公と
交流する学生役をミュージカル界の井上芳雄が演じている。
他に、宮沢りえ、永瀬正敏、上原多香子、浅野忠信、桃井か
おりが共演。また、鈴木清順、本作が遺作となった能楽師の
観世榮夫らも登場する。
不思議な瘤のある樹や、闇市の風景、またちょっと痴呆症気
味の妻の描くコラージュなど木村美術も随所に登場する。さ
らに調布の撮影所の撮影風景や、その中で学んでいる学生た
ちの様子も描かれる。不思議なムードがいっぱいの作品だ。

『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』
       “The Mummy: Tomb of the Dragon Emperor”
1999年と2001年に公開されたブレンダン・フレーザー主演の
『ハムナプトラ』(The Mummy)シリーズが、7年ぶりの今
回は中国を舞台にして装いも新たに再登場した。
映画の開幕は2000年前。1人の皇帝が中国を統一するが老化
の恐怖に怯え始める。そこで不老不死の秘法を巡って皇帝と

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07月27日(日)
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