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On the Production
by 井口健二
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■インビジブル・ターゲット、イエスタデイズ、パンダフルライフ
が多く観られるものだ。
実際、SF畑ではない作家がその点に気付いて原作を書いて
いるかどうかは判らないが、SFファンとして観ているとそ
の辺の処理も実にスマートで、これはやられたとも思ってし
まったところだった。
主演は、塚本高史、國村隼、和田聰宏、原田夏希。他にカン
ニング竹山、蟹江一平、中別府葵が脇を固め。さらに高橋惠
子、風吹ジュンが出演している。
監督は、本作が長編映画デビュー作となる窪田崇。ショート
フィルムやミュージッククリップなどで実績のある人のよう
だが、絵作りも含めて気に入ったものだ。
それから脚本は、2006年に東野圭吾原作の『手紙』、高橋し
ん原作の『最終兵器彼女』などを手掛けている清水友佳子。
前者は自分でも気に入った作品(2006年10月20日紹介)で、
本作でもその本領は発揮されていたようだ。

『パンダフルライフ』
中国・成都大熊猫繁育研究基地と、和歌山県南紀白浜にある
アドベンチャーワールドで飼育されているパンダを記録した
ドキュメンタリー作品。
パンダの母親は通常双子を産んで、その一方だけを育てるの
だそうだ。このため成都の研究基地では、母親に好物の蜂蜜
を皿で与え、その隙に赤ん坊を取り替えて2匹を均等に育て
させる工夫をしているようだ。
これに対して南紀では、自然に双子を育てた母親がいるとい
う。そのやり方は紹介されていないが、そうして育って双子
のパンダが本作の主人公となる。そしてその双子のパンダの
中国への帰国や、兄弟の別れなどが描かれる。
その間には、上記の要領で育てられている中国のパンダの様
子や、4頭が仲良く暮らす「おとぼけカルテット」と称され
る若年パンダの様子なども紹介されて、それぞれ愛らしいパ
ンダの映像が満載という作品になっている。
そしてナレーションは、菅野美穂が女性らしい口調も織り込
みながら、妙に感情を高ぶらせたり、押しつけがましくなる
ようなこともなく、ほのぼのとした映像にマッチした解説を
付けている。
ただ、アニメーションを使って解説される元々は肉食のパン
ダが竹を食べるようになった理由や、白黒の模様の理由につ
いては、こんなことで良いのかなという感じではあったが、
まあ中国側の説明がこんなものなのだろう。
それでも、竹を食べるようになっても消化器官は肉食のまま
なので、20%程度しか栄養にならないなどの説明がちゃんと
あったのは、それなりに学術的な面にも気は使われていたよ
うだ。それも程々に行われていたのは良い感じだった。
上野動物園のパンダがいなくなって、直前には『カンフー・
パンダ』も公開される。そんなタイミングを図ったような作
品だが、決して拙速に作られたものではなく、内容的にもし
っかりしたものになっている。特に幼い子供さんには観ても
らいたい作品だ。
なお、この試写会は新設された新宿ピカデリーで行われたも
のだが、2階に広いロビーを持つ劇場はなかなかの雰囲気だ
った。

07月20日(日)
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