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On the Production
by 井口健二
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■ハード・リベンジ、俺たちダンクシューター、アイアンマン、レス・ポール、能登の花ヨメ、歌え!パパイヤ、The 11th Hour、空想の森
はノスタルジーで胸が一杯になるような作品に仕上げられて
いる。
といっても、そんな思い出のない日本人にはノスタルジーは
湧かないが、そこはスポーツコメディとしても充分に楽しめ
る作品にもなっているものだ。
主演は、日本公開のアメリカンコメディでは異例のスマッシ
ュ・ヒットとなった『俺たちフィギュアスケーター』のウィ
ル・フェレル。前作はかなり下ネタも多くてちょっと心配し
たが、本作は真っ当なスポーツコメディにして名誉挽回とい
うところだ。
共演は、今年のアカデミー賞を賑わした『ノーカントリー』
にも出ていたウッディ・ハレルソン。シリアスからコミカル
までこなせる才人が見事に物語の要所を締めている。
そして映画では、基本的な練習のあり方やABAのいろいろ
な技なども織り込んで、コメディでありながら、まさにスポ
ーツものの王道という作品を作り上げている。特に身体が自
然に動くまで基本動作を繰り返させるという練習法は、観な
がら納得したものだ。

『アイアンマン』“Iron Man”
『X−MEN』や『スパイダーマン』などでお馴染みのマー
ヴェルコミックスが、独自に製作会社を設立して完成させた
人気コミックスの映画化第1号。
その第1号にマーヴェルは、オリジナルは1963年に誕生した
アイアンマンを選んだ。因にスパイダーマンの誕生は1962年
で、アイアンマンはそれに遅れること1年、しかしその誕生
以来、マーヴェルの人気の双璧として活躍してきたものだ。
ところでこの2作に共通しているのは、共に主人公が元は普
通の人間だったということ。しかもアイアンマンは、その後
も普通の人間の主人公が、自ら開発したパワードスーツによ
って特殊な能力を発揮できるようになるというものだ。
この辺の設定は、DCのバットマンに似たところもある(ど
ちらも主人公の職業が企業人であることも共通する)が、さ
らにアイアンマンでは、背景に軍需産業と実際の戦争の陰を
持つことも、特徴と言えるもののようだ。
そして映画化された物語では、兵器企業のトップとして戦場
に赴いた主人公が、自社製品が敵方にも流れている事実を知
り、自分の誤りに気付くと共にスーツの初号機を完成させて
アイアンマンが誕生して行く姿などを描いている。
この主人公を、『ゾディアック』などのロバート・ダウニー
Jr.が演じ、相手役には『恋におちたシェークスピア』のグ
ウィネス・パルトロー。さらにテレンス・ハワード、ジェフ
・ブリッジスらが共演している。監督は『ザスーラ』などの
ジョン・ファヴロウ。
主人公は、天才的な発明家という設定で、ほとんど何もない
状況からパワードスーツを作り上げていく様子などが描写さ
れる。それはメカマニアには垂涎のシーンという感じで、特
に中学生ぐらいの男の子には待望の作品と言えそうだ。
その一方で、自分の立場に気付いた主人公が、真の愛国者と
は何かを模索して行く姿は、現在のアメリカ国民(それは日
本国民も同様だ)の置かれた立場も反映して、見事な人間ド
ラマを作り上げている。
破壊力満点のアイアンマンスーツによる空中戦など、見事な
アクションの展開される作品ではあるが、このような人間ド
ラマもしっかりしているところが、アメリカでも大ヒットし
た要因でもありそうだ。
脚本は、『トゥモロー・ワールド』などのマーク・ファーガ
ス、ホーク・オストビーと、この後に『ハイランダー』のリ
メイクなどに関っているアート・マルカム、マット・ハロウ
ェイが、骨太のドラマを作り上げている。
なお、本作ではエンドクレジットの後にもドラマが進行する
ので、くれぐれも最後まで席を立たないように…

『レス・ポールの伝説』“Les Paul: Chasing Sound”
“American Masters”という1983年から続くテレビシリーズ
の1本として製作された人物ドキュメンタリー作品。
ギブソンのレスポールというと、エレキギターの代名詞のよ
うにもなっているものだが、最近の若者の中には、それが往
年の名ギタリストの名前だということを知らない人もいるの

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06月22日(日)
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