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On the Production
by 井口健二
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■第157回
* *
『トップガン』や『ライト・スタッフ』など航空機の登場
する作品はいろいろあるが、さらに1歩進んだエアロバティ
ックと呼ばれる究極のスタント飛行術を描く作品が計画され
ている。
計画を進めているのは、2006年『FLYBOYS』などを
製作したディーン・デブリン。実は同作には俳優として参加
していた25歳スタントパイロットのデイヴィッド・エリソン
が執筆した脚本を基にするもので、物語は、3人の若者パイ
ロットを中心に、彼らが地上10フィートでの逆様飛行や、超
高速のヘアピン飛行など様々なテクニックを競い合う中での
いろいろな冒険が繰り広げられることになりそうだ。
そしてこの映画化に、1994年『マスク』や、2002年『スコ
ーピオン・キング』などのチャック・ラッセルが参加、脚本
のリライトと監督を務めることも発表された。因に、題名は
“Northern Lights”。撮影は今秋開始の予定で、ラッセル
は、「エアロバティックのパフォーマンスは日夜進化する。
その世界をVFXも駆使して観客がパイロット席にいるよう
な臨場感で描く」としている。
ただし、ラッセルには、『奇跡のシンフォニー』のジョナ
サン・リース=メイヤース主演で、コミックスを映画化する
“Mandrake”という計画もあって、どちらが先かはまだ明確
ではない。しかしながら、本作“Northern Lights”では、
デイヴィッドの父親で、IT会社オラクルの創始者ラリー・
エリスンが出資を表明しており、資金繰りが早ければこちら
が先になる可能性は充分にある。因にラリー・エリスンは、
『FLYBOYS』にも資金提供していたそうで、今回はそ
れに続いての映画への出資。息子の計画に親馬鹿で出資して
いる可能性もあるが、そんな論調を払拭するような作品を期
待したいものだ。
* *
パラマウントに本拠を置くブラッド・ピット主宰のプロダ
クション=プランBが、“Lost City of Z”と題されたノン
フィクションの映画化権を獲得し、ピット主演で実現を目指
すことになった。
デイヴィッド・グランが著した原作は、南米アマゾンを舞
台に、その奥地に眠る失われた都市の存在を確信し、1925年
にその探索に向かったまま行方不明になったイギリスの探検
家パーシー・ハリソン・フォーセット(ピットが扮する)を
描いたもの。実はフォーセットはその都市を発見したとの情
報もあり、以来80年以上に亙ってその経路を辿って都市を再
発見しようとする試みが行われてきたが、それらはことごと
く失敗に終ったというものだ。
そしてこのノンフィクションは、元々は2005年2月発行の
雑誌ニューヨーカーに掲載された記事を拡大したものだが、
実はパラマウントでは、グランがその前に同じ雑誌に発表し
た“City of Water”という、100年以上に亙ってニューヨー
ク市の地下水道網の構築に携わってきた人々を描いたノンフ
ィクションの映画化も進めており、こちらは、2003年『タイ
ムライン』などを手掛けたジョン・ゴールドウィンの製作で
進められることになっている。
なおグランの作品では、この他に“The Old Man and the
Gun”と題された78歳でカーチェイスの末に逮捕されたとい
うギャングを描いた作品が、ウォルフガング・ペーターゼン
監督でワーナーで進められているそうだ。
一方、ピットの出演作では、コーエン兄弟監督の“Burn
After Reading”と、デイヴィッド・フィンチャー監督によ
る“The Curious Case of Benjamin Button”の撮影がすで
に完了しており、それぞれ本年9月と12月に公開予定になっ
ている。
* *
“The Treehouse Gang”と題されたオリジナルの脚本が、
争奪戦の末に150万ドルでワーナーと契約され、『ハリー・
ポッター』シリーズを手掛けるデイヴィッド・ハイマンの製
作で映画化が進められることになった。
この脚本は、1999年に発表されて話題を呼んだ8分間の短
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04月15日(火)
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