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On the Production
by 井口健二
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■フールズ・ゴールド、シューテム・アップ、サンシャイン・デイズ、百万円と苦虫女、あの日の指輪を待つ…、シークレット・サンシャイン
くなるようなスピード感と、いろいろな仕掛けが、思わずニ
ヤリとしてしまえるくらいのものになっている。しかもその
展開が、こちらの予想をかなり越えて進んで行くから本当に
面白いと言えるものだ。
脚本監督は、ジョン・マクティアナンやローランド・ジョフ
ィ監督作品でストーリーボードの製作に関わっていたという
マイクル・デイヴィス。その後に脚本家から監督に転進し、
初期の作品ではサンダンス映画祭の観客賞なども受賞してい
るそうだ。
本作を観る限りでは映画のことはちゃんと判っている監督の
ようで、今後の作品も楽しみになりそうだ。

『サンシャイン・デイズ』
1975年から78年まで神奈川県茅ヶ崎市に実在した「カフェ・
ブレッド&バター」をモティーフにした青春ドラマ。
ブレッド&バターは1969年にデビューし、現在も活躍中の兄
弟デュオの名前。その2人が、当時、茅ヶ崎市の岩倉家の別
宅で1人暮しをしていた岩倉具視の子孫の女性と知り合い、
その別宅に居候を始める。
そこには、さらにミュージシャン仲間などが集まって住むよ
うになり、やがてその邸内の一角にカフェをオープンする。
そしてそのカフェには、さらに多くのミュージシャンやモデ
ル、文化人などが集まり、コミュニティを形作って行くこと
になるが…
このカフェに関する実話は、ブレッド&バターのオフィシャ
ルサイト(http://www.bread-n-butter.net/)中の「わずか
9坪のユートピア」に詳しく紹介されているが、映画は脚色
はされているものの、大きな流れとしては、概ね事実に基づ
いて描かれているようだ。
実は僕自身、隣の平塚市に産まれ育った者だが、その当時に
ブレッド&バターという名前は記憶にあるが、このようなカ
フェがあったことは全く知らなかった。もっとも当時の僕は
すでに社会人だったし、この頃には東京でのSFの活動にも
忙しかったから、地元のことなどは、あまり気にもしていな
かったのかもしれない。
しかし今回、オフィシャルサイトの記事を読んでいて、活動
している場所や内容は違っても、同じようなコミュニティを
自分たちも作っていたということには気がついた。結局、当
時の若者文化というのは、こうしたコミュニティの中で形成
され、それが発信されて行ったということなのだろう。
そういった若者文化が現在はどのような状況にあるのか、こ
の記事を書きながら、ふとそんなことも考えてしまった。
とは言えこの映画は、当時の音楽や若者風俗も満載で、その
点ではノスタルジーに浸ることもできる作品になっている。
また、映画には岩崎家が経営に関った今は無き茅ヶ崎パシフ
ィックホテルの景観も再現され、それも知る人にはノスタル
ジーを掻き立てられるものにもなりそうだ。
出演は、西原亜希、斎藤慶太、三津谷葉子、松田悟志、浅利
陽介。他に、窪塚俊介、大杉漣、黒田福美、峰岸徹、キャシ
ー中島らが共演している。
なおこの作品は、先にtvkで全12回の連続ドラマとして放
送された番組をまとめて編集したもののようだ。

『百万円と苦虫女』
蒼井優主演で、ひょんな事から刑事罰を受けてしまった女性
が、周囲の無理解を避けて流浪の旅をするロードムーヴィ。
主人公の女性はある事情で他人の男性とルームシェアをする
ことになるが、その同居人の態度に腹を立てその荷物を捨て
てしまったことから、器物損壊の罪で刑事告訴を受けてしま
う。そして警察もいろいろ方策は考えてくれたのだが、結局
罰金刑に処せられる。
こうして実家に戻った主人公だったが、親や彼女を前科者と
呼ぶ周囲の住民たちの無理解に耐え切れず、100万円を貯め
たら町を出て行くと宣言。その宣言通り、100万円を貯めた
彼女は町を出て流浪の生活を開始する。
彼女の考えは、まず100万円を貯めること。それがあれば新
しい町で部屋を借り暮らしを始めることができる。そして、
それに掛かった費用の引かれた通帳の残高が再び100万円に
達したら、また旅に出るという計画だ。
こうして最初に辿り着いたのは海辺の町。そこで部屋を借り

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04月06日(日)
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