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On the Production
by 井口健二
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■第156回
 イーストウッド監督の早撮りは知られたことではあるよう
だが、それにしても一体どんな作品が登場してくるか、興味
津々の作品だ。
 なお、イーストウッド監督作品では、この他にネルソン・
マンデラ前南ア大統領を描く“The Human Factor”という作
品が製作準備中となっている。
        *         *
 続いては、会社の運営の話題で、ワーナーによる姉妹会社
ニューラインの解消と、その作品の配給を一括して行うとい
う発表について、以前から海外での権利をばら売りしてきた
ニューライン作品の配給権がいろいろ問題を生じそうだとい
うことだ。
 実際、3部作となる『ライラの冒険』の続編“The Subtle
Knife”と“The Amber Spyglass”に関しては、すでに各国
の配給権が確立されているため、ワーナーが一括することは
できないものだが、逆にアメリカ国内よりも海外での興行が
強いこのシリーズの製作を認めるかどうかに注目が集まって
いる。因に“The Subtle Knife”に関しては、2009年の公開
予定と、脚本に1997年『鳩の翼』などのハッサン・アミニの
起用が報告されているものだが、その後の具体的な進捗の情
報はないようだ。
 一方、ピーター・ジャクスンが製作と脚本を担当すること
になった『LOTR』の前日譚“The Hobbit”については、
海外配給はMGMが扱うことになっているものだが、2009年
の撮影と、2010、2011年に連続で2部作として公開する計画
は実現可能とされている。
 それに関連して魔法使いガンダルフ役のイアン・マッケラ
ンからは、「ピーターと(共同脚本の)フラン・ウォルシュ
が、『オリジナルのガンダルフ抜きには“The Hobbit”の製
作は有り得ない』と言ってくれたことは、役者として最高の
喜びだ。2009年のスケジュールはちゃんと空けてある」とし
て、映画化への意欲が語られているそうだ。ただし、一部で
報道されている監督をギレルモ・デル=トロが担当するとい
う情報は、まだ確定ではないようだ。
 この他のニューライン作品では、『センター・オブ・ジ・
アース3D』“Sex and the City”“Ghost of Girlfriends
Past”“Final Destination 4”“My Sister's Keeper”が
すでに海外配給権が契約されていたものだが、これらの作品
は、2009年中に全ての公開が完了するとしている。
 つまりワーナーの発表に従うと、“The Subtle Knife”の
公開が2009年中に完了となれば問題はない。しかし、現状で
は2009年の年末がぎりぎりのところだし、さらに2010年以降
となる“The Amber Spyglass”の製作は、このままではかな
り難しいことになりそうだ。この契約問題がどのように決着
するか、注目しておきたい。
        *         *
 日本では5月31日公開される『シューテム・アップ』でも
揃って怪演ぶりを見せているポール・ジアマッティとクライ
ヴ・オーウェンが、撮影中の“Duplicity”という作品で再
共演を果たしている。
 この作品は、企業間の熾烈な戦いを描く内容とのことで、
ジアマッティが扮するのは覇権を争う一方の企業の経営者、
対するライヴァル企業の経営者には『フィクサー』のトム・
ウィルキンスンが扮している。因にジアマッティは、HBO
製作のミニシリーズで、第2代アメリカ大統領ジョン・アダ
ムスに扮しているが、その作品“John Adams”にはウィルキ
ンスンがベンジャミン・フランクリン役で共演していたそう
だ。
 そしてオーウェンは、ジュリア・ロバーツと共に、その争
いに巻き込まれる元産業スパイのカップルを演じるものだ。
さらに企業戦士の役でビリー・ボブ・ソーントンの共演も期
待されている。
 脚本と監督は、『フィクサー』でも企業内部のドラマを描
き、アカデミー賞の両部門と、作品賞にもノミネートされた
トニー・ギルロイ。製作も『フィクサー』を手掛けたジェニ
ファー・フォックスとケリー・オレントが担当している。
 なお、『フィクサー』は『エリン・ブロコビッチ』との繋

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04月01日(火)
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