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On the Production
by 井口健二
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■MONGOL、スシ王子!、アウェイ・フロム・ハー、Mr.ブルックス、休暇、最高の人生の見つけ方、1978年冬
しっかりとしているし、劇場版らしいスケールも生まれてい
る。
そして物語では、ニューヨークの「八十八」という店を目指
してやってきた主人公だが、繁華街の同名の店は寿司の道を
外れ、ようやく見つけ出したのは場末の寂れた店。しかもそ
こはマフィアの手先による地上げの標的にされ、存続も風前
の灯火だった…
と言うことで、あとはお決まりの主人公の大活躍で店を復活
できるか?となるものだ。そしてそこに、いろいろな背景を
持った人間たちのドラマや、奇想天外な主人公に対する修業
の様子などが織り込まれる。
先にも書いたように、観客はまずこのシチュエーションに浸
り込むことが肝心だし、それができない人には「もったいな
いねえ」と言う外はない。でもそれができれば、作品は問題
なく楽しめるし、映画館の大画面でそれを堪能できる作品に
は仕上がっている。
出演は、堂本光一、中丸雄一のテレビ版レギュラーに加え、
北大路欣也、伊原剛志、釈由美子、石原さとみ、太田莉菜。
特に北大路が、周囲の尋常でない状況の中でも落ち着いた演
技を見せているのは、流石という感じだった。
原案と監督は、『金田一少年の事件簿』『トリック』などの
堤幸彦。昨年は、映画『自虐の詩』なども発表しているが、
今年は『20世紀少年』『まぼろしの邪馬台国』も公開される
そうだ。
『アウェイ・フロム・ハー/君を想う』“Away from Her”
アルツハイマーの妻と、その妻を介護施設に入れながらも想
い続ける夫の姿を描いた作品。妻を演じたジュリー・クリス
ティが、1966年『ダーリング』の初ノミネートで受賞以来、
4度目のオスカーノミネートを達成した。
妻のフィオーナはアルツハイマー型認知症を発症し、短期記
憶の喪失が始まっている。そんな妻も普段は気丈だったが、
ある出来事によって自ら介護施設への入所を希望するように
なる。しかしその施設には、入所時にある特別なルールがあ
った。
実は僕の両親も、母親が認知症で父親はそうではないという
状況にあり、その体験からもこの映画には大いに共感できる
ものだった。
ただし僕の両親の場合は、父親も高齢になったために現在は
一緒に施設に入ってもらっているが、それ以前に母親だけを
入れた時の父親の姿などには、本作の夫の姿を見るような思
いだった記憶がある。
だからこの映画の中で、そのルールが実は看護師の手抜きの
ためだと言うような台詞が出てくると、「やっぱりな」と思
うところもあり、それにショックに感じると同時に、一種の
納得もしてしまったものだ。
それにしても、この処置のために、夫がどれだけの苦しみに
襲われるのか。その症状自体は韓国映画の『私の頭の中の消
しゴム』などでも描かれていたものではあっても、本作はそ
れを夫の立場から描くことで、より鮮明にその恐怖も感じら
れるものになっている。
認知症を描いた作品は、その他にも『きみに読む物語』など
見てきているが、どの作品も身につまされるところがある。
また、その現象が周囲にはなかなか判ってもらえない病気で
あるだけに、このような作品でもっと周知してもらいたいと
思う気持ちも生じるところだ。
共演は、『リトル・ランナー』でジニー賞(カナダのアカデ
ミー賞)で助演賞候補になったこともあるカナダ人俳優のゴ
ードン・ピンセント。他にオリムピア・デュカキス、マイク
ル・マーフィら。
脚本・監督は、2005年『死ぬまでにしたい10のこと』などの
主演女優でもあるサラ・ポーリー。本作はアカデミー賞脚本
賞にもノミネートされた。
『Mr.ブルックス/完璧なる殺人鬼』“Mr.Brooks”
ケヴィン・コスナーが「完璧なる殺人鬼」役に挑んだ作品。
舞台はオレゴン州ポートランド。Mr.ブルックスは、地元の
名士でもある大実業家。家族を愛し、家族にも愛されるその
男の裏の顔は…連続殺人鬼だった。
殺人中毒症。そんなものが現実にあるのかどうかは知らない
が、映画に出てくる連続殺人鬼には確かにそういうような感
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03月23日(日)
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