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On the Production
by 井口健二
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■P2、パーク・アンド…、西の魔女が…、ノー・カントリー、幻影師…、悲しみの乾くまで、センター・オブ・ジ・アース(特)、88ミニッツ
NHK/BS−Hiのドキュメンタリーに挿入されるドラマ
部分などを手掛けているようだ。従って演出は手堅いものだ
が、本作では全体的に素人っぽい感じに作られているのは狙
いなのだろうか。でもまあ、全体の雰囲気は良い作品だ。
登場する女性たちを演じるのは、リリィの女主人と、梶原ひ
かり、神農幸、ちはる。リリィはいろいろな映画で観ている
気がするが、本格的な主演は初めてだそうだ。また、ちはる
は久しぶりに見たが、アイドル時代とは違って落ち着いた雰
囲気だった。
『西の魔女が死んだ』
1994年の発表以来、すでに発行部数が100万部を越えている
という梨木香歩原作のロングセラーを、長崎俊一監督で映画
化した作品。繊細さ故に登校拒否となってしまった少女を主
人公に、少女が自然の中で暮らす祖母と共に生活し、成長し
て行く日々を描く。
主人公の少女は、新入学の学校でクラスのどのグループにも
入らなかったことから、全員からのいじめを受けることにな
ってしまう。そんな少女を両親は、母方の祖母の許に預ける
ことにする。その祖母はイギリスから来日して祖父と結婚し
たという人だった。
山間の家に住む祖母は、ハーブを育てたり野イチゴを摘んで
ジャムにしたりして暮らしている。そんな祖母の家には、庭
仕事の手伝いをしてくれる近所の男や、郵便配達が出入りし
ていたが、その中で近所の男は何か怪しげだった。
そんな環境の中で少女は、閉じ籠もっていた自分から抜け出
し、徐々に自分を開放していくのだが‥。その基本となるの
が魔女修業。実は祖母はイギリスでは魔女の家系の末裔で、
主人公にもその血が流れていると言うのだ。
映画は、ほとんどのシーンが少女と祖母の2人だけで進行す
るが、大自然の中でそれは心地の良い物語が展開されるもの
だ。僕は原作は読んでいないが、2人の間の温かい雰囲気が
素晴らしく、なるほど原作がロングセラーになるのも判る感
じがした。
しかもテーマは魔女修業。ハリー・ポッターのような魔法が
登場するわけではないが、これが本物の魔女なのだというこ
とは理解できるように描かれており、それもまた素晴らしい
ものだった。
この少女役を新人の高橋真悠、祖母役を、アカデミー賞女優
シャーリー・マクレーンの娘で、2歳から12歳まで日本で暮
らしていたというサチ・パーカーが演じている。
因にパーカーは、1990年代前半まではテレビや映画にも出演
していた(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ペギー
・スーの結婚』などにも出ていたらしい)が、その後は夫の
仕事の都合で芸能界を離れていたようだ。それが久しぶりの
復帰作となり、しかも初主演というものだ。
その演技は、如何にも自然体という感じの素敵な雰囲気で、
日本語のせりふも多少たどたどしくはあるが、元々外国から
来日したという設定なら、こんなものだろうという感じのも
のにはなっていた。
他には、りょう、大森南朋、高橋克美、木村祐一が共演。ま
た、主題歌を『ゲド戦記』での起用が話題になった手嶌葵が
歌っている。
『ノー・カントリー』“No Country for Old Men”
今年のアカデミー賞で、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟
が作品(製作)、監督、脚色、それにハヴィエル・バルデム
が助演男優賞に輝いた作品。
麻薬取り引きに絡む多額の現金を横取りした男と、その犯人
を追って組織から送り込まれた殺し屋、それに地元の警察官
たちがいろいろなドラマを繰り広げる。
物語の展開はかなり殺伐としたもので、特にバルデムが扮す
る殺し屋が、ところかまわず容赦ない殺人を繰り返す様は、
『13日の金曜日』の殺人鬼を思い出させるくらいに凄まじい
ものだ。
しかも、組織の命令という前提はあるが、殺人のほとんどは
無意味なもので、罪がないとは言わないが、あまり無関係な
人間まで次々殺されるのには、かなり参ってしまった。
でもまあ、振り返ってみればコーエン兄弟が初オスカー(脚
本賞)を受賞した『ファーゴ』もかなり殺伐とした話だった
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03月09日(日)
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