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On the Production
by 井口健二
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■第153回
ここからはいつもの製作ニュースを紹介しよう。
まずは一般映画からで、最初はウィル・スミス主宰の製作
プロダクション=オーヴァーブルック・エンターテインメン
トから、今春出版予定の“The Billionaire's Vinegar”と
いう本の映画化権を獲得したことが発表された。
この作品は、1985年にクリスティーズのオークションに懸
けられたワインの瓶に関するドキュメントで、そのワイン瓶
は億万長者のフォーブス一家が15万6000ドルで競り落として
史上最も高価なワイン瓶とされたが、その後に真贋論争が巻
き起ったものだ。
これについてクリスティーズでは、その瓶の表面に書かれ
た“1787/ Lafitte/ Th.J.”の文字から、1787年の当時に全
権代表としてパリに赴任していた後の第3代アメリカ大統領
トーマス・ジェファーソンが買い集めたワインコレクション
の1本と鑑定したものだが…そこに至るまでにいろいろな謎
があったようだ。またこの件に関しては、昨年の9月発行の
New Yorker誌にもその調査の模様をまとめた記事が掲載され
ており、こちらはHBOでテレビ化が進められている。
ただし、今回の発表ではスミスの出演は報告されていない
が、製作は『幸せのちから』と同様エスケープ・アーチスツ
との共同で行われるもので、同じ条件であればその可能性は
高くなる。因に物語は、調査を行った男性が主人公となって
いるそうだ。
なおスミスの新作では、ピーター・バーグ監督で落ちぶれ
たスーパーヒーローに扮する“Huncock”が7月2日に全米
公開の予定。また、スミスとガブリエル・ムッチーノ監督が
再タッグを組むヒューマンドラマ“Seven Pounds”の撮影が
3月10日に開始されることになっている。
* *
2006年公開の『スキャナー・ダークリー』などのリチャー
ド・リンクレーター監督が、若き日のオーソン・ウェルズの
登場する映画“Me & Orson Welles”の製作を進めている。
この作品は、ロバート・カプロウの原作に基づくもので、
1930年代のニューヨーク演劇界を背景に、当時、弱冠22歳で
ウィリアム・シェークスピアの『ジュリアス・シーザー』を
脚色演出し、センセーションを巻き起こしたウェルズ率いる
マーキュリー劇場を描くもの。
ただし物語はロマンス劇とされているもので、劇団員たち
がそのロマンスを繰り広げるようだ。そして主人公は、次の
舞台で小さな役を勝ち取った10代の学生。その若者を『ハイ
スクール・ミュージカル』や『ヘアスプレー』でも好演した
ザック・エフロンが演じる。また、相手役には『いつか眠り
につく前に』のクレア・デインズが発表されている。
さらに、ウェルズ役は新人のクリスチャン・マッケイが演
じ、またその他の劇団員の役で、『シーホース』などのベン
・チャップリンらが共演する。
因に原作者のカプロウはパロディ作家として知られている
ようで、本作もユーモアに満ちた作品のようだ。脚色と脚本
は『スキャナー…』などの第1助監督を務めたヴィンセント
・パルモJr.とホーリー・ゲント・パルモが担当し、撮影は
2月後半または3月上旬に開始される。
なお、マーキュリー劇場は1937年6月に創立され、ファシ
ズムに傾斜した当時のイタリアを風刺した『シーザー』はそ
の年の後半に上演された。そして翌1938年には放送史に残る
『火星人来襲』が、この劇場からのラジオ番組として放送さ
れる。また、RKO映画の『市民ケーン』は1941年に製作さ
れるものだ。
* *
ジョニー・デップの主演が予定されていた“Shantaram”
を製作中断に追い込まれたミラ・ナイール監督が、それに替
わる計画として4月撮影開始を目指し進めている“Amelia”
という作品に、ヒラリー・スワンクの主演が発表された。
この作品は、1928年に史上初のアメリカ横断単独飛行を成
功させ、31年にはオートジャイロによる最高到達高度記録、
32年にはリンドバーグに次ぐ2人目の大西洋単独横断飛行、
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02月15日(金)
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