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On the Production
by 井口健二
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■バンテージ・ポイント、カフェ代官山、愛おしき隣人、告発のとき、ラフマニノフ、ねこのひげ、恋の罠、チェスト!
方、その店は日々常連客で賑わっているが、その客たちにも
それぞれ人生がある。そんな客たちや3人の仲間との交流の
中で、青年は成長して行く。
出演は、『スキトモ』『そして…』にも出ていた相葉弘樹、
それに大河元気、桐山漣、馬場徹という舞台版『テニスの王
子様』のメムバーたち。と言うことは、まあそれが目当ての
ファン層にはそれで充分というところなのかな。
物語も、『スキトモ』と同様、少女マンガ的な要素満載で、
50代後半のおじさんには理解し難い部分も多いが、少女コミ
ック〜レディスコミックのファン層には、これで充分と言え
るものなのかもしれない。
でも1本の映画としてみると如何せん話が甘すぎる。それに
今回は監督の演出力が弱い感じもして、全体的に何か中途半
端にも感じられた。本来ならもう少し締まりのある話になる
のだろうが、その辺が物足りなくも感じられたところだ。
それぞれのエピソードを細切れではなく、もう少し掘り下げ
て描いて欲しかった。そうすればもう少し何かが見えてきた
ような気がする。
とは言え、上に書いた条件の許ではこれでも充分なのかな。
その辺は僕には判断できないものだ。
『愛おしき隣人』“Du levande”
2003年2月2日付で紹介している『散歩する惑星』のロイ・
アンダースン監督によるそれ以来の新作。
前作同様、いろいろな出来事が脈絡無く提示されているよう
に見える作品。しかし、何人かの特定できる人物が繰り返し
登場するし、音楽が物語を繋いでいたりもする。その全体像
は俄には把握しにくいが、全体として何か微笑ましい物語が
展開しているものだ。
特に音楽は重要な意味を持たされているようで、最初のクラ
シカルな伴奏音楽から、ブラスバンド風、ロック調、あるい
はカントリー風などさまざまな音楽が、現実音であったり伴
奏であったり…さらには激しい雷雨の音響なども登場して、
いろいろな雰囲気を造り出す。
物語も現実と夢が交錯して、特にロックミュージシャンとそ
のファンのエピソードでは、かなり奇想天外な情景も描き出
される。そして最後は、これは正確に提示される訳ではない
が、見方によってはかなり衝撃的な画面で結ばれるものだ。
前作『散歩する惑星』もSF的な要素を含む作品だったが、
本作にもその傾向は見られる。その意味ではSFとしての評
価を下したいところだが、話がかなり巧妙に描かれていて即
断がし難い。
正直には、もう1度見直して自分の頭の中の整理もしたいと
ころだが、監督自身は本作を「人間の置かれた状況に関する
茶番劇」と称しているようで、脈絡の無い物語にはあまりそ
の意味の追求はできないようだ。
描かれるエピソードでは、テーブルクロスを引き抜こうとす
る男の話の中で、引き抜かれたテーブルクロスの下から現れ
るものに衝撃を受けた。この隠された現実?これが監督の描
きたかったテーマの一つであるのかも知れない。
結末を踏まえて敢えてSF的に解釈すれば、この物語の全体
はその全てが登場人物たちの一瞬の夢のようでもある。しか
し、それも僕の勝手な解釈なのだろう。
映画の全体はユーモアに溢れ、観ている間は何か心地よい雰
囲気を感じられる。そして、その感覚は観終えてからも持続
する。この感覚はすばらしいものだ。本作は昨年のカンヌ映
画祭「ある視点部門」で正式上映された。それがピッタリの
感じのする作品だ。
『告発のとき』“In the Valley of Elah”
『ミリオンダラー・ベイビー』『クラッシュ』が2年連続の
アカデミー賞作品賞に輝いた脚本家ポール・ハギスの新作。
ハギスは『クラッシュ』に続いて監督も手掛けている。
『硫黄島からの手紙』『父親たちの星条旗』『007/カジ
ノロヤイヤル』の脚本も手掛けるハギスは、ハリウッドでは
引く手あまたの人材と言える。そのハギスが敢えて次回作に
選んだのは、泥沼化するイラク戦争の現実を厳しく追求する
物語だった。
反戦思想の色も濃いその計画は、当初は政治姿勢を気にする
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02月10日(日)
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