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On the Production
by 井口健二
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■第152回
れていたようだが、それも観ぬ夢に終ってしまったものだ。
なお、レジャーの死因は薬物の過剰な摂取とされており、
レンフローの死因は公表されていないが、彼の最近の行状か
ら見て同じ死因と考える向きが多いようだ。薬物の問題は、
アメリカ映画でもたびたび取り上げられ、国家的な大問題だ
と思うのだが、現在行われている大統領予備選挙でもあまり
争点になっているようにも見えず、一体どうしたことかと思
ってしまうところだ。
* *
以下は、いつもの製作ニュースを紹介しよう。
先ずは流れというのも何だが、前回クリスチャン・ベール
の共演を報告したマイクル・マン監督の“Public Enemies”
に、さらに『エディット・ピアフ』の演技でアカデミー賞に
ノミネートされているフランス人女優マリオン・コティアー
ルが出演し、ジョニー・デップ扮する銀行強盗犯ジョン・デ
リンジャーの恋人役を演じることが発表された。
因にコティアールはかなりの長身ということで、デップの
恋人役には身長が心配だという声もあるようだが、オスカー
候補作では実は小柄だった歌姫を見事に演じていたもので、
その辺のことは了解済みだろう。ただし、前作の撮影もかな
り苦労したとは語っていたようだが…
なお、コティアールは、WGAのストライキで製作延期と
なった“Nine”への出演が予定されていたもので、その替り
の出演となっているものだが、本人は、ジャヴィアー・バー
デン、ペネロペ・クルス、ソフィア・ローレンらと共演する
ミュージカル映画にもまだ期待を持っているそうだ。
また今回の計画では他に、チャニング・テイタム、ジョン
・オーティス、ジョヴァンニ・リビシ、スティーヴン・ドー
フらがギャング側の配役で発表されている。この内、テイタ
ムとオーティスは、実はストライキの影響で製作中止に追い
込まれた“Pinkville”に出演予定されていたとのことで、
ストライキの影響は各方面にさまざまなようだ。
* *
話が芋づる式になっているが、次は“Pinkville”が製作
中止に追い込まれたオリヴァ・ストーン監督の情報で、それ
に替る作品の計画が発表されている。
作品の題名は“Bush”。現アメリカ大統領ジョージ・W・
ブッシュのこれまでの人生と、大統領としての職責を描く作
品になるということだ。因にストーンは、ブッシュ政権のイ
ラク侵攻政策には批判的な発言もしているようだが、映画は
アンチブッシュの視点で描かれるものではなく、ブッシュが
如何にして権力を握ることができたかなどの、ブッシュ自身
に迫った作品になるとしている。
ただしストーンによると、敬虔なクリスチャンのブッシュ
大統領は、「神のご意志によって大統領になることを定めら
れていた」との発言もしているのだそうで、その神の意志が
イラク侵略に向かわせたという展開にもなるようだ。
脚本は、1987年の『ウォール街』でもストーンに協力した
スタンリー・ワイザー。ワイザーは1年以上を掛けた綿密な
調査の上で、WGAのストライキの期限以前にこの脚本を仕
上げていたとのことで、“Pinkville”の製作中止決定後、
直ちに提案が行われたそうだ。
なお本作の製作には、昨年11月15日付第147回で紹介した
ピーター・ジャクスン製作のSF映画“District 9”も手掛
けるQEDが2500万ドルの資金提供を契約しており、映画の
製作は問題なく行われそうだ。また主演には『ノーカントリ
ー』のジョシュ・ブローリンが期待されており、さらに撮影
スタッフには“Pinkville”に関っていた人たちを出来るだ
け起用したいとのことだ。
ストーンは、1991年の『JFK』と95年の『ニクソン』で
もアメリカ大統領を描いており今回が3人目。大統領選挙の
年にどんな大統領を見せてくれるのだろうか。撮影は4月に
開始の予定で、公開は11月の大統領選挙の投票日前に行いた
いとしている。
ただし、本作の配給会社は未定。“District 9”の配給は
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02月01日(金)
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