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On the Production
by 井口健二
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■第151回
 つまりVES賞の候補には、『ボーン…』も“Evan…”も
選ばれなかったもので、これには異論が湧くのも当然という
ところだろう。とは言え、『スパイダーマン3』の3作連続
オスカーVFX賞受賞はなくなった訳で、『LOTR』に続
く偉業はならなかったものだ。
 ついでにアカデミー賞メイクアップ部門の予備候補7本も
報告されたので紹介しておくと、こちらの予備候補は、『潜
水服は蝶の夢を見る』『ハリー・ポッター』『エディット・
ピアフ』“Norbit”『パイレーツ…』『スウィーニー・トッ
ド』『300』ということで、何とフランス映画が2本も名
を連ねたが、それに異論を挟む人はいないようだ。
        *         *
 賞関係は以上にして、ここからはいつもの製作ニュースを
紹介する。
 まずは一般映画の話題で、スティーヴン・スピルバーグが
次の作品に予定しているとも言われる法廷劇“The Trial of
the Chicago Seven”の主演に、『スウィーニー・トッド』
の好演が注目されたサッシャ・バロン・コーエンの起用が噂
されている。
 作品は、1968年8月イリノイ州での民主党全国大会におけ
る反戦運動で逮捕され、その裁判でのパフォーマンスが話題
となったシカゴ・セブンと呼ばれる活動家たちの物語。その
中でもコーエンが演じるのは、特に注目を集めたアボット・
ホフマンの役ということだ。因にホフマンは、裁判中に判事
の法衣を着て法廷に現れたり、無罪の判決が出ると裁判官に
LSDの効用を語って知人のディーラーを紹介することを申
し出たとも伝えられている人物だ。
 という実在でも相当に奇矯な人物のようだが、これにコー
エンの演技が填ったら…かなり面白くなりそうだ。脚本は、
1998年ウィル・スミス主演『エネミー・オブ・アメリカ』な
どのアーロン・ソーキン。ソーキンは昨年公開されたトム・
ハンクス主演“Charlie Wilson's War”の評価も高い。
 ただしスピルバーグには、ピーター・ジャクスンと共働の
“Tintin”と、リーアム・ニースンの主演が予定されている
“Lincolin”の計画も進行中で、タイミング的には今回の作
品がベストのようにも見えるが、さてどうなりますか。
 なお、コーエンは先のインタヴューで、『アリG』『ボラ
ット』のキャラクターを封印する発言もしているそうだ。今
回の計画と発言との関係は不明だが、シカゴ・セブンは僕の
世代では一番興味を引かれるところでもあり、いずれにして
も早期の実現を期待したい。
        *         *
 次は続報で、第149回で報告したジョニー・デップ主演、
マイクル・マン監督の“Public Enemies”の計画が進行し、
相手役にクリスチャン・ベールの起用が発表されている。
 物語は、デップが扮する史上に名高い銀行強盗犯ジョン・
デリンジャーを描くもので、ベールはデリンジャーを追いつ
めるFBI捜査官メルヴィン・パーヴィスを演じるとのこと
だ。脚本は、マンがすでに書き上げており、撮影は3月にシ
カゴで開始される。
 ということでベールの出演が発表されたが、ベールには、
第148回で紹介した3月15日に撮影開始予定の“Terminator
Salvation: The Future Begins”でジョン・コナーを演じる
ことも発表されている。そこでそのスケジュールが心配にな
るところだが、実は“Terminator”の新3部作でのコナーの
活躍は、第2作、第3作が中心になるとのことだ。
 これに関して、製作者のジェームズ・ミドルトンの発言に
よると、新3部作ではまず『T3』で描かれた破滅後の世界
が舞台となり、そこでの生き残った人々の生活が描かれる。
そして彼らのレジスタンスが始まり、やがてその中からジョ
ン・コナーが登場してくるという展開になるそうだ。従って
“Terminator Salvation”では、ベールが演じるコナーは、
まだ脇役ということのようなのだが…それでどんな話が展開
されるのか、完成が楽しみだ。“Terminator Salvation”の
全米公開は2009年夏に予定されている。

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01月15日(火)
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