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On the Production
by 井口健二
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■スウィーニー・トッド、俺たちの明日、うた魂♪、魔法にかけられて、奈緒子、胡同の理髪師、L、マイ・ブルーベリー・ナイツ
監督のノ・ドンソクは、韓国の映画アカデミーで学んだ俊英
で、本作が2作目。当然過去の作品も知っているだろうし、
その中で自分が今作るべき作品を作っているはずだ。その本
作で韓国の若者たちを熱狂させたというのだから、その考え
は正しいことになる。
出演者の中で、弟分を演じたユ・アインは、いわゆるイケ面
俳優として人気急上昇中の若手とのことだが、本作が映画デ
ビュー作。次回作は、日本製のコミックス『アンティーク〜
西洋骨董洋菓子店』の韓国版映画化だそうで、これから日本
でも話題を呼びそうだ。
そして主人公は、監督の第1作にも主演しているキム・ビョ
ンソク。プロフィールが公にされていない謎の俳優とのこと
だが、演技は的確にされていた。その他の脇役も、ほとんど
が監督の友人たちとのことで、そういうスタンスの作品のよ
うだ。
なお、撮影はパナソニックの760pヴィデオカメラで行われた
ようだが、監督インタヴューによると、ソニーのカメラに比
べて色調が淡くフジフィルムのような感じだったそうだ。と
いうことはソニーの色調はコダックなのかな?

『うた魂♪』
12月に主演作『東京少女』を紹介したばかりの夏帆主演で、
全国大会出場を目指す高校コーラス部の活動を描いた作品。
2004年函館港イルミナシオン映画祭・第8回シナリオ大賞を
受賞した脚本「あたしが産卵する日」の映画化。
夏帆が演じるのは、全国大会常連校のコーラス部でソプラノ
のパートリーダーを務める荻野かすみ。自分の歌声と容姿に
異常なくらいに自信を持ち、性格も自己中心的で、カメラが
趣味の生徒会長とも相思相愛と思い込んでいる。
そんなかすみは、実は周囲からは多少煙たがられているのだ
が、そんなことは全く意に介していない。ところがある日、
生徒会新聞に掲載された歌っているかすみの写真が、産卵中
の鮭の表情に似ていたことから、一気に自信を喪失してしま
うことになる。
これに、ガレッジセールのゴリが率いるヤンキー風の高校コ
ーラス部や、薬師丸ひろ子が扮する合唱部顧問(産休代員)
などが絡んで、青春を謳歌する物語が展開する。
2008年は「合唱」の年になるようで、すでにママさんコーラ
スが登場する『歓喜の歌』を紹介しているが、今度は高校コ
ーラス部の物語となった。
ここで同じような題材の作品が並ぶということには、多少の
危惧も感じてしまうところだが、内容的には、『歓喜の歌』
は舞台裏のすったもんだを描いているのに対して、本作は純
粋にコーラスで歌うことの喜びを描いたもので、その方向性
には違いがあるものだ。
実際に本作では、コーラス部員の発声訓練の様子や、コーラ
スを合わせていく過程なども描かれており、それだけコーラ
スが中心に据えられた作品であることがよく判る。
と言っても、それがコーラスのシーンになると、その画面か
ら受け取られる感動はいずれも同じようなものになってしま
うのだが…それを繰り返し感じたい思うのであれば、どちら
も観れば堪能できるという作品だ。
映画では夏帆たちのコーラスも見事だったが、ゴリたちの歌
う尾崎豊には異様な迫力があった。因に、夏帆たちのコーラ
ス部の指導はオペラ系の王真紀、ゴリたちの指導はゴスペル
系の吉田英樹が担当して、それぞれ実際に出演者たちが歌声
を披露しているそうだ。
また、審査員の役で男性コーラスグループのゴスペラーズが
登場し、夏帆たちが最後に歌うコーラスでは彼らの新曲が使
用されている。そして、映画の中では薬師丸も久しぶりに歌
声を披露している。
実は、娘が社会人のコーラスグループに参加していて、先日
もそのコンサートを見に行ったのだが、コーラスの迫力とい
うのは特別な感動を呼ぶもので、その感動がこの映画では特
に上手く表現されているように感じられた。

『魔法にかけられて』“Encanted”
ディズニーが、『白雪姫』や『眠れる森の美女』などの正統
派プリンセスを久しぶりに生み出したと言われる作品。最近
のディズニー映画でオープニングロゴとなっているお城が発

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01月06日(日)
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