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On the Production
by 井口健二
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■明日への遺言、Mr.ビーン、テラビシア、アメリカン・ギャングスター、勇者たちの戦場、そして春風にささやいて、トリコン、黒い土の少女
「ウイ」「ノン」と、何故か「グラシアス」しか話さない。
そして、早速パリで道に迷ったMr.ビーンはすったもんだを
開始する。
これにロシア人の少年やフランス人の女優の卵、さらにアメ
リカ人の映画監督らも巻き込んで、折しも国際映画祭開催中
のカンヌが最後の舞台となる。そしてその記録は、ヴィデオ
カメラにバッチリ撮られていた…というものだ。
僕は前作もお気に入りの作品だが、正直、前作の展開にはか
なり無理があって、その辺は当時のテレビの人気で誤魔化さ
れていた感じもあった。
しかし今回は、物語にさほどの無理もなく、10年も経てばも
はや過去の人気は吹っ切らなくてはいけないということなの
か、しっかり映画を作ろうという意志が見える作品になって
いた。それが海外では前作を上回るヒットになったとも思わ
れるところだ。
アトキンスンは、その後ハリウッドのコメディ映画などにも
出演しているが、Mr.ビーンの復活で新たな路線が開けそう
だ。「クルーゾー警部」の対抗馬になったら面白い。
なお、フランス人女優の役で『恋愛睡眠のすすめ』のエマ・
ドゥ・コーヌ、ロシア人少年の役で『ポーラー・エクスプレ
ス』に「出演」していたマックス・ポリドリーが共演。そし
てアメリカ人監督役をウィレム・デフォー、ロシア人監督役
をハリウッドでは悪役で知られるチェコ人俳優のカレル・ロ
ーデンが演じている。

『テラビシアにかける橋』“Bridge to Terabithia”
ニューベリー賞など、世界の名だたる児童文学賞を受賞した
キャサリン・パタースン原作の映画化。
いろいろな事情で学校では爪弾きになっている少年が、近所
に引っ越してきた少女と共にファンタシー世界を冒険する。
それは、近くの森の小川をロープで渡った先に広がる世界だ
った。
僕も、幼い頃に自分だけのファンタシー世界を持っていた。
テラビシアのような壮大な世界ではないし、大人になってか
らそこに行くことは最早できないが、何時でも思い出して、
何かしら自分の支えになってくれるそんな世界だ。
そんなことを思い出しながら、この映画の世界に引き込まれ
て行った。少年は活発な少女の後押しでその世界に入って行
くが…そこには悲劇も起きる。けれどそれらの全てが少年の
成長を促して行く。
原作者は、自分と自分の息子に訪れたある出来事を基にこの
物語を書き上げたということだが、その現実的な背景が物語
に厚みを加えていることは間違いない。そしてその物語は、
全ての人の心に染みる感動を与えてくれる。
今回の映画化の脚本は原作者の息子が執筆してる。1977年に
出版されたオリジナルの物語を現代化することは、この映画
化では欠かせないことだったが、それを当事者の一人でもあ
る息子が担当したことも、この映画化では重要なことだった
ように思える。
これによって、親と子の両方の側面からの物語が完成してい
るようにも感じられた。
出演は、少年役を『ザスーラ』のジョッシュ・ハッチャーソ
ン、少女役を『チャーリーとチョコレート工場』のアナソフ
ィア・ロブ。他に少年の父親の役でロバート・パトリック、
教師役でズーイー・デシャネルが共演している。
監督は、『ザ・シンプソンズ』や『ラグラッツ』などを最初
に手掛けたガボア・クスポ。実写作品は初監督だが、少年少
女の視点に立った映画作りと見事な映像感覚で、この作品を
成功に導いた。またVFXをWETAが担当、見事なテラビ
シアの世界とクリーチャーたちを描き出している。

『アメリカン・ギャングスター』“American Gangster”
リドリー・スコット監督、デンゼル・ワシントン、ラッセル
・クロウの共演で、1970年前後のニューヨークを舞台に、麻
薬の取り引きで伸し上がった男と、その麻薬取り引きに絡ん
で腐敗し切った警察の浄化を目指した男との対決を描いた作
品。
物語の発端は1968年、ハーレム仕切っていたボスが死去し、
その跡目をボスの長年の右腕だったルーカスが引き継ぐ。そ
の亡くなったボスは、生前にニューヨークにも進出した家電

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12月20日(木)
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