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On the Production
by 井口健二
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■第148回
お次も少しスト絡みの話題になるが、第143回で紹介した
ブラッド・ピット、エドワード・ノートンの共演作“State
of Play”からピットの降板が発表された。
この作品は、イギリスのテレビシリーズからの映画化で、
内容は新進政治家を巡るスキャンダルを描いている。そして
計画では、ノートンが政治家、ピットは彼を追求するジャー
ナリストを演じることになっていた。ところが前回改訂中と
報告した脚本は完成したものの、11月15日に予定されていた
クランクインを過ぎてもピットとケヴィン・マクドナルド監
督との意見が合わず、また現状では脚本の再改訂もできない
ということで、ついにピットの降板となってしまった。
なおピットの降板劇は、最近では“The Fountain”でも起
きたものだが、今回の製作会社のユニヴァーサルでは、製作
が不能になった場合は、訴訟も辞さないとしているとのこと
で、事態はかなり深刻なようだ。まあユニヴァーサルにして
みれば、ようやく掴まえたピットに逃げられるのは、かなり
ショックということなのだろう。
とは言え、当面は代役の獲得を目指すことになる訳だが、
そこにはストで次回作が延期になっているトム・ハンクスや
ジョニー・デップの名前も噂されていた。しかし会社側は、
ラッセル・クロウに白羽の矢を立てたようで、一応クロウの
代演が決定になっている。それにしても、ノートンの政治家
とクロウのジャーナリストという配役は、何となく逆のよう
な気もするが、それは見てのお楽しみになりそうだ。
* *
次はストとは無関係で、前回、第147回では新作の計画を
紹介したロマン・ポランスキー監督に、今度は“Polanski”
と題された監督本人の伝記映画の計画が発表された。
計画しているのは、元は『沈黙の戦艦』や『ストリート・
ファイター』などにも出演していたアクション俳優で、最近
ではインディペンデントの監督としても活躍しているという
ダミアン・チャパ。計画は、チャパの脚本、監督、出演で進
められるが、ポランスキーの承認は得ていないとのことだ。
因にチャパは、裁判記録などを克明に調査し、それと著作権
の存在しない一般的な情報に基づいて脚本を書いたとしてお
り、それがその通りなら誰にも止められないものだ。
多少やばい気はするが、ナチ支配下のポーランドでユダヤ
人逃亡者として隠れ暮らした子供時代から、シャロン・テー
ト事件、また幼い女優とのスキャンダルでハリウッドを追わ
れ、さらにオスカーを受賞するなど、激烈なポランスキーの
半生は、まさに映画的な題材ではあることは確かだ。
撮影は1月から、ベルギー、ポーランド、それにアメリカ
国内で行われる計画。またチャパは、出演者としてはポラン
スキー監督の初期作品のプロデューサーだったユージン・ガ
トウスキーを演じるもので、ポランスキー役の俳優などはこ
れから選考するとしている。
映画監督を描いた作品は過去にもいろいろあったが、中に
は思い出したくないこともあるだろう。この計画に対して、
ポランスキーはどう反応するのだろうか。
* *
ここからは、SF/ファンタシー系の映画の情報を紹介す
る。
まずはこちらもスト絡みの話題からで、上記のようにスト
で延期の決まった“Pinkville”に主演予定だったブルース
・ウィリスに対して、ディズニー製作でジョナサン・モスト
ウ監督による“The Surrogates”というグラフィックノベル
の映画化が、2月の撮影開始予定で発表された。
この作品については、今年4月1日付の第132回で一度紹
介しているが、人類が全員引き籠りになって、社会生活は全
てロボットが代行しているという近未来を舞台にしたお話。
そして今回の情報によるとそこで殺人事件が起こり、ウィリ
スはその捜査を命じられた刑事に扮するというものだ。この
ウィリス扮する刑事も最初は代行ロボットを使って捜査を進
めるが、やがて数年ぶりに家を出て実地に捜査をしなければ
ならなくなる…
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12月01日(土)
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