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On the Production
by 井口健二
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■ディセンバー・ボーイズ、ビー・ムービー、潜水服は蝶の夢を見る、魁!!男塾、スリザー、ベオウルフ、ブラザー・サンタ
達ではないという感じのものだ。
描かれるミツハチの姿は4本脚だったり、家族があったり、
雄バチがミツを集めていたりと問題はいろいろあるが、その
一方でミツバチは針で刺すと死んでしまうとか、女王蜂の存
在が飛んでもないところで明らかにされるなど、上手い展開
にもなっていた。
サインフェルド以外の声の出演は、人間の女性役でレネー・
ゼルウィガー、ハチの親友役でマシュー・ブロデリック。他
に、ジョン・グッドマン、クリス・ロック。また、俳優のレ
イ・リオッタやロック歌手のスティングの登場も笑わせる。
なお、エンディングクレジットに流されるサインフェルドと
ブロデリックの掛け合いの歌も聞き物だ。

『潜水服は蝶の夢を見る』
           “Le Scaphandre et le Papillon”
ファッション雑誌ELLEの編集長だったジャン=ドミニク
・ボビーは、ある日突然脳梗塞で倒れ、ロックト・イン・シ
ンドロームと呼ばれる症状に陥る。身体全身の運動機能が麻
痺し、動かせるのはわずかに右目の目蓋だけ。
そんな絶望的な状況の中で、ボビーは、動かせる目蓋だけで
自伝を上梓する。それは使用頻度順に並べ替えたアルファベ
ットを読み上げてもらい、必要な文字になったら目蓋を1回
閉じてそれを報らせ、その繰り返しで文章を綴るという、途
方もない作業で生み出されたものだった。
この背景となった物語は事前に知っていたが、こんな途方も
ない話の重みを如何に観客に伝えるかは、まったく想像でき
なかった。
映画は発表された自伝を原作としている。しかし、映画に描
かれているのはその自伝だけではないのだろう。僕は原作を
読んでいないので正確ではないが、原作に書かれたとは思え
ない本人の焦燥や、絶望や、そこから見いだされた希望など
が映画には見事に描かれている。
実際、映画ではボビーの置かれた状況が観客にも手に取るよ
うに感じられ、自分だったら絶対に耐えられないという感覚
にも襲われた。僕が強いて比較できるのは、睡眠中の金縛り
だが、若い頃に何度か経験したその恐怖もまざまざと蘇って
きたものだ。
同じような状況の物語では、ダルトン・トランボの“Johnny
Got His Gun”が思い出される。反戦が主テーマの1971年の
映画とは内容も全く異なるが、同作を生涯ベスト1の作品と
している自分としては、それに繋がる作品としても評価する
ところだ。
監督は、『バスキア』『夜になるまえに』のジュリアン・シ
ュナーベル。元々が画家であり芸術家の監督らしい、見事な
映像にも彩られている。
なお、本作はジョニー・デップが主演を切望したものだった
が、スケジュールの都合でそれは叶わなかった。しかし本作
の中で、ボビーがマックス・フォン・シドー扮する父親の髭
を剃るシーンが有り、『スウィニー・トッド』と同時期に公
開されたら面白かったとは思えたものだ。
因に本作のボビーは、『ミュンヘン』などのマチュー・アマ
ルリックが演じている。
実際のボビーは、タバコも喫わず、酒もあまり飲まなかった
そうだ。それでもこの状態になった。最近血圧が高めの自分
としては、その病気のことも気になる作品だった。

『魁!!男塾』
週刊少年ジャンプで1985−91年に連載された宮下あきら原作
コミックスの映画化。
2001年に北村龍平監督による自主製作映画『VERSUS』
の主演で衝撃的に登場したアクション俳優=坂口拓が脚本、
監督、主演を務めた作品。
真の男子育成のため設立された全寮制の私塾「男塾」。そこ
では過酷を超えた鍛練によって男に磨きをかける。そんな場
所に、母親の命令で否応なしに入寮させられた軟弱な主人公
が、仲間たちの応援の許、成長して行く姿が描かれる。
しかも、そこに関東豪学連と称する対立組織が登場し、主人
公たちは塾の存亡を賭けた闘いにも巻き込まれる。
この軟弱な主人公というか狂言回しの役を尾上寛之。また、
豪学連と闘う3戦士を坂口と照英、それに山田親太郎が演じ
る。他に麿赤兒、中島知子らが共演。さらにナレーションを

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11月20日(火)
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