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On the Production
by 井口健二
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■第147回
執筆中に政界を揺るがす隠された真実を発見し、それは彼自
身の生命をも脅かす事態になってしまう…というもの。ポラ
ンスキーはハリスと共に脚本を執筆し、撮影は来年秋にヨー
ロッパで行われる。
 発表に当りポランスキーは、「永年ポリティカルスリラー
を撮りたいと思っていた。この原作はそれに最適なものだ」
と、抱負を語っている。
 なおポランスキーは、準備に18ヶ月を掛けた1億ドル企画
“Pompeii”の製作を9月に断念したばかりだが、今回は、
『戦場のピアニスト』などにも協力したサミットが配給を担
当して、万全のバックアップをすることになっている。
 また監督は、近作では『オリバー・ツイスト』など古典も
撮っているが、元々は『チャイナタウン』や『フランティッ
ク』など、現代劇のサスペンスも得意としていたもので、今
回は監督自身が、「本来的なポランスキーの守備範囲だ」と
して、自信を覗かせているものだ。
        *         *
 『しあわせのレシピ』ではキャサリン・ゼタ=ジョーンズ
が見事なシェフぶりを見せてくれたが、今度はメリル・スト
リープが、テレビの料理番組などで活躍する実在のシェフ=
ジュリア・チャイルドに扮する計画が発表された。
 題名は“Julie and Julia”。物語は、1人の女性がチャ
イルドの料理本“Mastering the Art of French Cooking”
に掲載された524のレシピを全部作ることを目標に奮闘した
1年間の出来事を綴るもので、その女性=ジュリー・パウエ
ルが日々の挑戦や挫折をブログで発表、その後に、“Julie
and Julia: 365 Days, 524 Recipes,1 Tiny Apartment Kit-
chen”として纏められた本を原作としている。
 そしてこの原作から、『めぐり逢えたら』『ユー・ガット
・メール』などのノーラ・エフロンの脚本、監督で映画化す
るものだ。なお、パウエル役には、2005年6月15日付第89回
で紹介したディズニー製作のファンタシー“Enchanted”に
主演のエイミー・アダムスが扮する。
 展開から考えて、ストリープが料理をするシーンは少ない
ようにも思えるが、チャイルドはテレビ番組ではエミー賞の
候補にもなっている人で、その名に相応しいシーンは描かれ
ることになりそうだ。
 製作はコロムビア。撮影は2008年に予定されている。
        *         *
 全世界で1億5000万ドルを稼ぎ出した“Rocky Balboa”に
続いて、来夏日本公開予定の“Rambo”の新作(ランボー 最
後の戦場)も好調と伝えられるシルヴェスター・スタローン
が、チャールズ・ブロンソン主演、1974年製作のMGM作品
“Death Wish”(狼よさらば)のリメイクを、自らの監督主
演で進める計画を発表した。
 物語は、普通の男性を主人公に、彼の妻と娘が暴漢に襲わ
れ、その復讐のために男が立ち上がるというもの。スタロー
ンお得意の努力が報われる物語が展開するものだ。リメイク
の脚本は、『T3』、それに“Terminator Salvation: The
Future Begins”を手掛けるマイケル・フェリスとジョン・
ブランカトーが契約している。ただし脚本家は現在ストライ
キ中で、製作のMGMでは、ストが早期に決着した場合には
3月の撮影開始を目指すとしているものだ。
 因に、MGMでは、1985年以降のMGM作品と、ユナイテ
ッド・アーチスツ(UA)、オライオン、ポリグラム。サミ
ュエル・ゴールドウィン、キャノンが製作した4100本と伝え
られるライブラリーを所有しているものだが、今後は、その
中からシリーズ化できそうな作品を選んで順次製作する意向
を表明している。
 しかし現実のMGMの公開予定は、“Lions for Lambs”
“Valkyrie”などトム・クルーズが関わるUA作品が中心に
なっており、さらに来年1月の撮影開始が決まった“Bond
22”の配給はソニー手掛けるなど、今一つ影が薄い。その現
状を打開し、今後の製作配給に本格復帰する計画の一環とし
て、本作をその先陣としたいようだ。
 なおMGMでは、ピアズ・ブロスナンが主人公を再演し、

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11月15日(木)
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