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On the Production
by 井口健二
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■シルク、ボビーZ、パルス、ダーウィン・アワード、ゼロ時間の謎、フローズン・タイム、中国の植物学者の娘たち
追われることになり、そこにカーニーをリーダーの仇と狙う
暴走族の連中も登場。その上、作戦失敗を挽回しようとする
DEAの捜査官まで彼の命を狙い始める。
正に四面楚歌の状況だが、さらにボビーZの恋人だった女性
や、ボビーZの息子までもが絡んできて、メキシコからサン
ディエゴまでを舞台にしたアクションドラマが展開する。
典型的な男性向けアクション映画といった感じの作品だが、
脇役には『マトリックス』のローレンス・フィッシュバーン
や、往年のキース・キャラダインといった連中も顔を揃えて
雰囲気を盛り上げる。
なお、お話では、面子を潰された麻薬王は彼を生きたまま連
れて来いと言い、他の連中は単純に抹殺を企むなど、その辺
の微妙な設定がうまく纏められている。B級アクションとし
て公開される作品だと思われるが、話も案外しっかりしてい
るのは気に入った。

『パルス』“Pulse”
2001年に発表された黒沢清監督の『回路』を、『エルム街の
悪夢』などのウェス・クレイヴンの脚本でハリウッド・リメ
イクした作品。
1997年公開の黒沢監督作品『CURE』は、『リング』に先
行するジャパニーズ・ホラーの嚆矢と呼べる作品で、その恐
怖演出は『リング』以上のものだったと思っている。従って
僕は、『リング』ばかりが持て囃される風潮には多少抵抗も
感じていたものだ。
だからその黒沢監督の『回路』には、当時大いに期待して試
写会に向かった記憶がある。しかし、その作品は何かが違っ
ていた。
発端となるアイデアは素晴らしいと思えた。それに描かれる
映像の一つ一つも見事な雰囲気を作り上げていたものだ。し
かし肝心の物語が、途中から何となく焦点がずれて、前半と
後半で異なる話が展開され、しかもそれぞれが中途半端なよ
うにも感じられた。
これが、僕が『回路』に対して持っていた印象だ。だからこ
の作品のリメイクが発表されたときには、前半と後半の一体
どちらを映画化するのだろうとさえ思ったものだ。しかしリ
メイクされたのは、オリジナルの前後半を見事に融合させた
満足の行く作品だった。
物語は、ハッカーとして有能だった男が、恋人や友人たちの
前に姿を現さなくなるところから始まる。心配した恋人が彼
の住まいを訪ねると、異様に憔悴した彼がいて…
その事件はインターネットを通じて広まって行く。コンピュ
ータの画面に「幽霊に会いたいですか」とのメッセージが現
れ、それをクリックすると、怪しげな人物たちの画像が表示
され、やがてその人物たちがコンピュータを抜け出し人々を
襲い始める。
そして街から人々が消え始める。それは、襲われた人々が消
えたためなのか…
オリジナルの作品の時は、人々を襲う映像のことがいろいろ
説明されて、それがかえって話の辻褄を合わなくしているよ
うな部分もあった。しかし今回の映画化では、その説明は曖
昧にされ、何か判らない恐怖としてうまく表現されていた。
そしてオリジナルでは、ほとんど意味不明になってしまった
結末も、これなら納得できるというものになっていた。これ
で黒沢監督の製作意図が初めて理解できたようにも思えたも
のだ。そして恐怖演出も存分に楽しめた。

『ダーウィン・アワード』“The Darwin Award”
題名の意味は、「最も愚かな死に方をした人に対し、バカな
遺伝子を減らしたことへの感謝の気持ちから贈られる賞」と
いうことで、実在するもののようだ。
そんなバカな死に方をテーマに、それを調査する保険調査員
を主人公に描いた物語。
何しろバカな死に方だから死亡原因も特定できず、保険会社
は保険金を支払わなくてはならないのだが、そこから見事な
プロファイリングで故意や過失を見いだし、保険金の支払い
を免れるようにするというお話が展開する。
この物語を、イギリス出身で『エリザベス』などのジョセフ
・ファインズ(Harry PotterでVoldemort恂を演じるレイ
フの弟)と、ウイノナ・ライダーの共演で、男女2人のコン
ビネーションは、『X−ファイル』のパロディも思わせる雰

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11月10日(土)
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