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On the Production
by 井口健二
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■第144回
オンを目指すという物語のようだ。
因にこの配役は、当初マット・デイモンで企画されていた
が、デイモンのスケジュールが満杯となり、ピットはその代
役での出演となっている。
それにしても、デイモンの代役にピットとは豪華な交代劇
だが、実のところは来年夏のストライキを控えて、製作現場
はかなり緊急体制になってきたところが伺えるものだ。特に
本作はパラマウントの製作で、ピットは同社のトップを務め
るブラッド・グレイとは切れない間柄だし、その辺で止む無
しというところもありそうだ。
一方、本作の監督はダーレン・アロノフスキー。アロノフ
スキーは、第59回で紹介したように“The Fountain”の製作
ではピットに降板されてしまったものだが、今回はひょんな
ことから組むことになっている。元々“The Fountain”の製
作は、ピットが監督の才能を認めて進めていたもので、今回
の代役にはこの辺の経緯も絡んでいるのかも知れない。
撮影は、ノートンとの共演作の“State of Play”に続け
て行われる。今度はリング上で闘う姿も見られるかな?
* *
『ラッシュ・アワー3』が大成功を納めたブレット・ラト
ナー監督と、主演クリス・タッカーのコンビで、次なる計画
が報告された。
計画されているのは、題名が“Mr.S: My Life With Frank
Sinatra”という作品。1953−68年のシナトラ全盛期を陰で
支えたジョージ・ジェイコブスが、ハリウッド史家のウィリ
アム・スタディエムと共著で2003年に発表した回想録に基づ
くもので、その中には、シナトラとラット・パック、さらに
マリリン・モンローやケネディ兄弟、プレスリー、ディート
リッヒらも登場してくるそうだ。
その映画化を、タッカーのジェイコブス役で進めようとい
うものだが、すでにタッカーは、今夏にジェイコブス本人に
面会して役作りも行っているとのことで、実現は案外早くな
るかも知れない。
一方、脚本はスタディエムに依頼されているが、そのスタ
ディエムは、「ブレットは本当に良くラット・パックのこと
を研究している。彼と一緒に仕事をするのは楽しくなりそう
だ。私は、彼が間違いなくシナトラとチャネリングしている
と思うね」と語るなど、かなり好意的な雰囲気で進んでいる
ようだ。
なお、本業のスタンダップ・コメディアンが超多忙とされ
るタッカーは、『ラッシュアワー3』が久しぶりの映画出演
だったものだが、元々ラトナー監督のデビュー作の“Money
Talks”以来、『ラッシュアワー』の3部作に、“After the
Sunset”など、常に同監督と組んでいるもので、今後も当面
の映画出演は同監督の専属で行くようだ。一方、ラトナーに
は第139回で報告したヒュー・ヘフナーの伝記映画の計画も
あり、こちらも忙しそうだ。
* *
またまたリメイクの話題で、今年9月に作品紹介を掲載し
たデンマークのスサンネ・ビア監督による『ある愛の風景』
(Brodre)を、『スパイダーマン』のトビー・マクガイア、
『ゾディアック』のジェイク・ギレンホール共演で、ハリウ
ッドリメイクする計画が発表された。
オリジナルの物語は、先月紹介したばかりだが、人格者の
兄と生活破綻者の弟を巡るもので、兄が海外派兵先のアフガ
ニスタンで戦死と報じられ、悲嘆にくれる一家を見た弟は、
心を入れ替え彼らを支える。ところが兄が奇跡的に救出され
て生還。しかし帰還した兄は性格が一変し、自分が居なかっ
た間の弟と妻の関係を疑い出す…というもの。この兄をマク
ガイア、弟をギレンホールが演じる。
リメイクの脚本は、『X−メン』からのスピンオフで11月
に撮影開始予定の“Wolverine”なども手掛けるデイヴィッ
ド・ベニオフ。監督は『イン・アメリカ』などのジム・シェ
リダンが担当。撮影はこちらも11月初旬に開始の予定になっ
ている。製作は“3:10 to Yuma”が大ヒットを記録したばか
りのリレイティヴィティ・メディア。なおオリジナルは、ア
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10月01日(月)
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