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On the Production
by 井口健二
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■レディ・チャタレー、レンブラントの夜警、バイオハザードV、迷子の警察音楽隊、カルラのリスト、アヴリルの恋
1枚の絵を事細かに検証して、そこに隠された謎を解き明か
す。それが真実であるかどうかは別にして、『ダ・ヴィンチ
・コード』を髣髴とさせる謎解きには、思わずニヤリとして
しまう作品だ。
元々が美術学校で絵画を学んでいたというグリーナウェイ監
督は、実は同時期のオランダの画家では、レンブラントより
フェルメールの方が好みなのだそうだ。しかし、世界3大名
画の一つとまで言われる『夜警』が、何故そこまで人々を引
き付けるのかと言う点に興味を持ち、その興味からこの物語
が誕生したとのことだ。
したがって、レンブラント個人に対しては、あまり深く掘り
下げられてはいないが、彼が正義感だけで猪突猛進してしま
う解釈は、それなりに面白いものがあった。
ただし、本作ではそのレンブラント役を、『銀河ヒッチハイ
ク・ガイド』のマーティン・フリーマンが演じていて、SF
映画ファンにとっては多少違和感があった。しかも、本作は
コメディタッチで描かれた部分も多く、全体的に人間を描く
ことは避けられている感じもする。
実際、謎解きが見事である分、それを真実として描き切るこ
とには、監督自身に多少躊躇があったのかも知れない。だか
ら敢えてこのような撮り方をしている感じも持つ。とは言う
のの、それが多少物足りなくも感じられた。しかし…
舞台面のような画面構成や、スポットライトなど、レンブラ
ントの絵画を思わせる映像も次々登場し、2時間19分の作品
は飽きることなく観ることができた。
『バイオハザードV』“Resident Evil: Extinction”
2002年、2004年に公開されたシリーズの第3弾。
人間の筋力を増大させ、さらに不死身にするT−ウィルス。
最強の兵士を生み出す軍事目的で造り出されたそのウィルス
は、しかし感染した人間の思考力を奪い、本能だけで人肉を
食らう「人」ではないアンデッドにしてしまうものだった。
そのT−ウィルスが、開発したアンブレラ社の研究所から洩
れ出し、感染してアンデッドと化した人間が次々に人を襲い
だす。その物語は、第1作では研究所の中だけの話から、第
2作では都市へと拡がり、そして第3作は…
ゾンビ物の変形と言えばその通りの物語だが、そこに、大本
の研究にも関わりがあるらしいアリスというヒロインを配し
て、単なるゾンビものではない新たな展開を生み出した。
元々は、同名のヴィデオゲームから始まったものだが、その
ゲームにはアリスがいないというのもこのシリーズの味噌だ
ろう。このアリスが、つまりはゲームのプレーヤーであり、
縦横無尽に闘いを繰り広げるものだ。
そして第3作では、第2作のエンディングから数年後。ウィ
ルスの蔓延した地上は砂漠と化し、そこにはわずかに正常な
人々が、大都市を避けて、移動を続けながら生き長らえてい
た。しかしその人々に、アンデッドやアンデッドカラスが容
赦なく襲いかかる。
特に今回は、文字通り空を埋め尽くす多数のアンデッドカラ
スが、ヒッチコックの『鳥』を、CGIを使って無茶苦茶大
規模にした感じで、雰囲気を作り上げていた。
一方、アンブレラ社は、ウィルスの開発意図だった軍事目的
はすでに失われたが、今は自分たちの延命のために研究を続
けており、そこでアリスとの新たな対立が生まれている展開
となる。
なお本作では、前2作の監督のポール・WS・アンダースン
は脚本と製作総指揮に下がり、替って監督はラッセル・マル
ケイが担当している。マルケイは、1986年『ハイランダー』
で人気を確立したが、最初は『レイザーバック』というちょ
っと不思議な感覚のホラー作品で僕らの前に登場した人で、
その感覚は今回の作品にも活かされていたようだ。
主演は、ミラ・ジョヴォヴィッチ。他にも前作からの登場人
物が何人か出ている。また、テレビシリーズ『HEROS』
が評判のアリ・ラーターが、ゲームキャラクターのクレア役
で新登場している。
なお、以前に紹介したジョヴォヴィッチの記者会見では、第
4作の製作は決めていないということだったが、映画の結末
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09月30日(日)
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