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On the Production
by 井口健二
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■花蓮の夏、ディスタービア、コンナオトナノオンナノコ、ブレイブワン、ここに幸あり、サウスバウンド、ヒートアイランド
のオリジナル脚本を映画化したものだが、当時の一般人でも
ここまでの盗聴や覗きができるのだという限界が描かれてい
たものだ。その限界が、本作ではいともた易く実現されてい
るのには、ちょっと恐ろしくもなった。
共演は、別の隣に引っ越してきた若い女性役にハリウッド版
の『呪怨2』にも出ているサラ・ローマー、東洋系の親友役
に舞台出身のアーロン・ヨー。また、怪しい隣人役を『プル
ーフ・オブ・ライフ』などのデヴィッド・モース、そして主
人公の母親役を『マトリックス』などのキャリー=アン・モ
スが演じている。
題名の感じからはティーンズ・ホラーかとも思ったが、本作
は多少のショックシーンはあるものの全体はまともなサスペ
ンス。有望株の若手スターの主演作だし、映画ファンの鑑賞
には損のない一編と言えそうだ。

『コンナオトナノオンナノコ』
1989年にガロでデビューしたという女性漫画家・安彦麻理絵
の原作を、昨年『パビリオン山椒魚』が話題となった冨永昌
敬監督で映画化した作品。
原作と同じ題名の意味するところは、「女はいくつ(30歳過
ぎ)になっても女の子だ」ということだそうだ。僕は「いく
つになっても大人になれない女」のことかと思っていたが、
多少ニュアンスは違うようだ。
主人公は、30歳前後の2人の女性。2人は元同僚だったが、
1人は25歳で寿退社して子供も産み、以後は専業主婦。もう
1人は独身を通して今やバリバリのキャリアウーマン。
ところが、以前はそれが目標だったはずの生活を送っている
2人にも、それぞれ悩みが欝積してくる。それは何より女で
ありたいということ。そしてそれが頂点に達したとき、彼女
たちは行動を開始する。
別段、彼女たちの悩みが甘えだとは思わないが、男としては
何で自分がこういう悩みを抱えないのかとは思ってしまう。
男にはこのような思考回路が成立しないように作られている
のかも知れないが、不思議な話だ。
そんなことは別として、この映画では、変えようと決めてか
らの女性たちの行動も楽しく描かれる。そして、その行動が
引き起こす波紋や解決も矛盾なく描かれているところには、
作品としての奥行きも感じられた。
それから本筋と関係ないが、トウモロコシの成長の描き方や
幼い女の子の三輪車の映像も丁寧に撮られていて、これも映
画の彩りとして違和感もなく納得できるものになっていた。
実際、こういうさりげない映像が日本映画ではなかなか様に
ならないものだ。
出演は、是枝監督の『ワンダフルライフ』に主演していたエ
リカと、『ロスト・イン・トランスレーション』に出演の桃
生亜希子。それぞれ最近他の作品でも観ているが、本作の演
技は気に入った。他に、河合美智子、津田寛治らが共演。
男としては、女性たちにこんな不満を抱かせない努力をしな
ければいけないのだろうが、それもなかなか難しい。でも、
こんな女性の本音を描く作品がもっと登場してくれば、それ
なりに社会も変わるとは思えるのだが。

『ブレイブワン』“The Brave One”
ジョディ・フォスター製作総指揮・主演、ニール・ジョーダ
ン監督による復讐ドラマ。
フォスターが扮するのは、FM局でパーソナリティを務める
女性。番組の評判も良く、結婚も決まって順風満帆だった彼
女を突然悲劇が襲う。婚約者と犬を連れての散歩中に暴漢の
グループに襲われ、婚約者は死亡、彼女も重傷を負い意識不
明となったのだ。
その彼女が3週間後に目覚めたとき、婚約者の葬儀はすでに
終っていた。一方、目覚めた彼女に警察は当時の状況を聴取
するが、現れた刑事は捜査に熱心とも思えない。
やがて彼女は、当初陥った外出恐怖症も克服して社会復帰を
果たす。だがその時になっても警察の捜査はあまり進捗して
おらず、思い余った彼女は護身用の拳銃を手に入れる。そし
て、偶然入ったコンビニで強盗に遭遇した彼女は…
試写会では、主人公の行為が許せるかという投票が行われ、
僕は躊躇なく「許せる」に投票したのだが、見ていて意外と

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09月20日(木)
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