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On the Production
by 井口健二
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■ヘアスプレー、ある愛の風景、サーフズ・アップ、チャプター27、風の外側、この道は母へとつづく、FLYBOYS
の中では説明されていなかったと思うが、多分、NATOの
一員として派兵せざるを得ない体制なのだろう。そのことが
当然かのように、説明もぜずに済んでしまうことが、まず恐
ろしく感じられた。
原題はbrotherという意味のようだが、物語は2人の兄弟が
中心となる。兄は結婚して子供もおり、親にとっても自慢の
息子。それに対する弟は、未婚で定職もなく、その上、罪を
犯して服役から釈放されたばかりという状態だ。当然親にも
疎んじられている。
そんな弟が釈放された日に、兄には召集令状が届き戦地に向
かうことになる。そしてその戦地で、危険な任務に向かった
兄の搭乗するヘリコプターが撃墜されてしまう。しかし奇跡
的に無事だった兄は、敵の捕虜になっていたのだが…
撃墜時の状況からみて戦死と判断された兄に対して、軍隊に
よる盛大な葬儀が行われる。そして悲嘆にくれる両親や兄の
家族を見た弟は心を入れ替え、過去に犯した犯罪も悔い改め
て、真面目に働くようになる。こうして一種平穏な日々が続
いて行く。
ところが、突然兄が国連軍に救出されて帰ってくる。しかも
その兄は、抑留中のある事件を切っ掛けに、人格が変ったよ
うになってしまっていた。その結果、特に自分が行方不明の
間の弟と妻の関係への疑い強めて行く。
僕の父親もシベリアに抑留されて音信不通となり、母親には
父の弟との再婚話があったというから、戦時中にはこういう
話は儘あることなのかも知れない。それにしても、撃墜が目
撃されているとは言え、この状況で葬儀を行ってしまう軍と
いうのも酷い話だ。
基本的には、反戦の視点で描かれた作品と思われる。日本も
現状は後方支援という名目で可能性は少ないとはいえ、将来
的に国連の許の派兵が行われれば、こういう事態も起こり得
る。日本人にとっても無関係とは言えない話だ。
『サーフズ・アップ』“Surf's Up”
ペンギンの社会を舞台に、サーフィンに賭ける若者の姿を描
いた作品。
アニメーション映画というのは、製作期間も長いし、従って
企画はかなり前に立てられるはずだから、互いを見て2匹目
のドジョウを狙うということは難しいと思うのだが、その割
りには、よく似た企画が同じ時期に登場するものだ。
これはドリームワークスの登場で、特に目立ってきたように
も感じるものだが、今回の作品はソニー・イメージワークス
製作で、アニマルロジックが作った『ハッピー・フィート』
と同じペンギンが主人公になる。
とは言ってもこの2作、同じペンギンが主人公でも、話はか
なり違うものになっていた。
南極に住むイワトビペンギンのコディは、子供の頃に彼の地
を訪れた伝説のサーファー・ビッグZからペンダントを手渡
されて以来、サーフバトルで相手に勝つことだけを考え、氷
のボードでテクニックを磨いてきた。
そんなコディに、サーフィンワールドカップ出場のチャンス
が訪れる。ところが、やってきた会場で権勢を誇っていたの
は、ビッグZに勝利して名を上げたコウテイペンギンのタン
ク。その戦いに破れたビッグZは、そのまま帰らぬ人となっ
たのだ。
したがって、そんなビッグZのペンダントを持つコディは、
当然タンクの目の敵にされるが…これに、五大湖からやって
きたニワトリのサーファーや、ライフガードの雌ペンギンら
が加わって、物語は進んで行く。
ただし、この映画の売りはこの物語だけのものではない、映
画の見所は、プロサーファーの動きを抽出してペンギンの姿
に置き換え、徹底的に拘わって映像化したという波のCGI
に合成したサーフィンの妙技だ。
その演技には、保存映像から取り出されたものの他、チャン
ピオンサーファーたちの動きを直接モーションキャプチャー
したものもあるということだ。そして、普通よりは長いチュ
ーブの中を行くサーファーの姿など、実写ではなかなか観ら
れない映像を、たっぷり観せてくれる。
なお、原語の声優には“Indy 4”への出演が話題のシャイア
・ラブーフ(と読むらしい)や、ズーイー・デシャネル、ジ
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09月09日(日)
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