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On the Production
by 井口健二
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■第142回
ディジタルプロジェクターの規格のことで、元々ハイビジョ
ンからスタートした現行のディジタルプロジェクターの水平
解像度が約2000でこれを2Kと呼び、これに対して4Kは、
水平解像度が約4000あるというものだ。一応、ハリウッドの
規格では2Kと4Kの両方が認められているが、水平垂直が
2倍ずつで、画面全体では4倍の解像度となる4Kの方が、
画質の優れていることは言うまでもない。
実はハイビジョンの解像度は、開発当時に16ミリフィルム
程度と言われていたもので、それが2倍になれば32ミリ、画
面の縦横比はヴィスタサイズで、スタンダードに対して上下
に黒みが入ることを考えると、これでほぼ35ミリフィルムに
匹敵する画質になったとも言えるものだ。70ミリやImaxには
及ばないにしても、基本的に映画館で上映される映画の画質
はこれで充分と考えられる。
それで4Kプロジェクターによる上映も行われたが、特に
巻頭のロゴマークのCGI映像の美しさは、正に息を呑むも
のだった。ただし、映像ソースとして4Kで製作された作品
は、ハリウッド作品でもまだ一部に限られているもので、そ
の実力が完全に発揮されるのは常にということではない。
一方、東京地区の映画館では、現在の4Kプロジェクター
の設置は、六本木とお台場、それに板橋、東村山などごく一
部に限られているのが現状で、仮に4K製作の作品をこの試
写室で鑑賞すると、一般公開の映画館と画質が同じでないこ
とになるというのは、ちょっと気になるところだ。といって
も今回ネットで調べていたら、いつの間にか郊外のシネコン
では、リアルDの上映館も増えてきているようで、その内、
4Kの上映館も増加してくるのだろう。
なお内覧会での説明では、同じ4Kプロジェクターでも、
以前の装置は4Kの映像ソースを内蔵のハードディスクに移
すのに一晩掛かりだったものが、今回の最新鋭機では上映時
間の1.5倍程度で済むのだそうだ。それだけ進化もしてい
るという話だった。
早く4K製作の作品をこの試写室で観てみたいものだ。
* *
以下は、いつもの製作ニュースを紹介しよう。
最初は、これは全くの希望的な観測だが、『LOTR』の
前日譚“The Hobbit”の映画化について、ニューライン(N
L)側が折れるのではないかとの噂が広まっている。
この計画については、昨年12月15日付の第124回などでも
報告したように、元々はピーター・ジャクソンとNLで進め
ていたものだったが、その後の『LOTR』の興行収入を巡
る裁判の提訴で頓挫となっていた。
ところが、今年の夏の『ヘアスプレー』などは大ヒットし
ているものの、実は経営の安定しないNLにとって、確実に
ヒットの見込めるジャクソン版『ホビット』がどうしても必
要になってきたというのだ。またこれに絡んでは、『LOT
R』で対立したNL創設者のボブ・シャイが、「ジャクソン
の言い分にも一理ある」と発言したとも伝えられ、これはそ
の予兆とも取られている。
ただしジャクソンの予定では、現在撮影中の“The Lovely
Bones”が終ると、続けては第136回で紹介したスピルバーグ
と共同で製作する“Tintin”の計画が進んでいるもので、こ
れでは何時になったら“The Hobbit”に取り掛かれるか判ら
ない。そこで監督は、第124回で報告したサム・ライミが担
当するとの情報も登場した。
JRR・トーキンの原作から、『LOTR/旅の仲間』ま
でを繋ぐ3部作というコンセプトは、すでにジャクソンが構
想しているとも伝えられ、それをジャクソンとフィリッパ・
ボウエン、フラン・ウォルシュが脚本化し、ライミの監督で
実現する可能性はありそうだ。
なおライミは、ワーナーが進めている『タイタンの戦い』
のリメイクからは降板を表明しており、ソニーの『スパイダ
ーマン4』への着手にはまだ尚早のものだ。またもし実現し
たら、“The Hobbit”3部作の製作は、『LOTR』と同様
に3年連続で行われる。
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09月01日(土)
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