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On the Production
by 井口健二
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■サッド ヴァケイション、アフター・ウェディング、レター、ジャンゴ、北京の恋、カタコンベ、ナンバー23
・ベック』シリーズに出ているロルフ・ラッセゴード。
また、1999年の『ミフネ』に出演のシセ・バベット・クヌッ
センが資産家の妻を演じ、その娘役を、本作でデンマーク・
アカデミー助演女優賞を獲得した弱冠20歳のスティーネ・フ
ィッシャー・クリステンセンが初々しく演じている。
古城で行われるデンマーク式結婚式の様子やコペンハーゲン
など北欧の風景も楽しめる。その一方で、インドのスラム街
で撮影された巻頭のシーンも圧巻だった。
なお監督は、すでにハリウッドに招かれ、ドリームワークス
の製作で、ハリー・ベリー、ベニチオ・デル=トロ共演によ
る“Things We Lost in the Fire”という作品を撮り終えて
いるそうだ。

『レター/僕を忘れないで』(タイ映画)
1997年製作の韓国映画をタイでリメイクした2004年の作品。
オリジナル版は、今年の韓流映画フェスティバルで上映され
た。
オリジナルは観ていないが、この種の作品をアジアでリメイ
クする場合には、ハリウッド的リメイクと異なり、舞台だけ
を変えて物語はそのまま映画化することが多いようだ。
ただしこの物語では、題名の通り手紙が重要な意味を持つも
のだが、本作では電子メール全盛の時代に手紙の持つ意味を
見事に捉えており、それが1997年のオリジナルでどうだった
のかは気になるところだ。
バンコクでIT企業に勤める女性が、唯一の肉親だった大叔
母の葬儀のためにチェンマイを訪れる。そこには大叔母の残
した住居があり、また、ある切っ掛けから地元で農業の研究
をしている青年と知り合い、電話での交際が始まる。
やがて彼女の側にちょっとした出来事が起こり、彼女はチェ
ンマイに戻ってくる。そして青年と結婚。在宅勤務の体制も
整えて、彼女は新生活をスタートさせるが…
実は物語の本筋はここからなのだが、映画はここまでの経緯
もたっぷり見せてくれるし、ここまでの物語も良い感じのも
のだった。また、ここから後半はちょっと捻った感動ものに
なるが、それも上手く構成されて全体にバランス良く作られ
た作品と言える。
オリジナルの韓国映画もあるから、物語はしっかりと練られ
ていたというところかも知れないが、先に書いたように手紙
と電子メールの関係などもあって、それが本作独自の脚色だ
としたらこの脚色は見事なものだ。
手紙のトリックは、この状況でここまでやれるかという辺り
では、ちょっと考えてしまうところだが、お話というところ
ではまあこれもありだろう。
個人的にはもっとファンタスティックな展開も期待したが、
これはこれで充分に満足できるものだ。それにその切っ掛け
となるエピソードがちょっと不思議な雰囲気を出しているの
も気に入ったところだ。
なお、脚本には、一昨年の東京国際映画祭で一番気に入った
『ミッドナイト、マイ・ラブ』の脚本/監督を務めたコンデ
イ・ジャトゥララスミーが参加している。彼は他に、昨年の
『ヌーヒン』の脚色や、『トム・ヤム・クン』の共同脚本に
も参加しているそうだ。

『スキヤキウェスタン・ジャンゴ』
6月に特別映像を紹介した三池崇史監督による全編英語台詞
の和製西部劇。
壇之浦の合戦から数100年後。平家の落人が暮らす寒村に、
1人のガンマンが現れる。根畑<ネバダ>の湯田<ユタ>と
いう名のその村には、平家の財宝が隠されているという噂が
あるらしい。
実は、同様の噂のあった別の村で実際に財宝が発見されたと
いうことで、その村にも平家と源氏の残党が集まってきてい
た。そして対立する両者の間で甘い汁を吸おうというのが、
どうやらガンマンの魂胆のようだ。
ところがその村には、美しい酒場のダンサーや、怪しげな雑
貨屋の女主人などがいて…
『ジャンゴ』というのは、フランコ・ネロ主演『続荒野の用
心棒』の原題なのだそうで、実は、本編の物語はその1966年
作の設定を巧みに利用したというか、オマージュを捧げたも
のになっている。
映画は、「平家物語」の書き出しの部分の台詞で始まって、

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08月31日(金)
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