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On the Production
by 井口健二
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■自虐の詩、ロケットマン、ローグ・アサシン、4分間のピアニスト、クワイエットルームにようこそ、さらばベルリン、幸せのレシピ、シッコ
りに出演もしている。
主人公を演じるのは、『七人のマッハ!!!!!!』で主演デビュ
ーしたダン・チューポン。ムエタイを基本にした格闘技と、
今回はワイアーも使って大掛かりなアクションも見せてくれ
る。それに大量の竹筒ロケットが飛び交う光景は、なかなか
壮観だった。
タイの竹筒ロケットは、先日日本のテレビ局がお笑い芸人を
現地に送り込んで、その製作過程のレポートを放送していた
が、いろいろノウハウもあるようで面白かった。本作でも製
作過程はそれなりの紹介されていて興味深いものがあった。
それから、本作では1920年代トラクターの多分本物が現役で
動くシーンも登場し、それも面白かった。

『ローグ・アサシン』“Rogue Assassin”
『SIIRIT』のジェット・リーと『トランスポーター』
のジェイスン・ステイサムがバトルを繰り広げるアクション
作品。
ステイサムが演じるのはFBI捜査官。ある日の捜査で彼は
同僚と2人でアジア系の組織を壊滅させ、そこに現れたロー
グと呼ばれる殺し屋を同僚が銃撃。ローグは川に転落する。
ところが数日後、その同僚の住む家が襲われ、一家は全滅。
そしてそこには、ローグが襲った証拠が残されていた。
それから数年後、主人公の前に再びローグの姿が現れる。仕
事の度に整形で顔を変えるローグは人相不明だったが、主人
公はジェット・リーの演じるその男がローグであることを確
信する。そしてローグは、中国系組織と日本のやくざが抗争
する西海岸で暗躍を開始する。
中国系組織のトップを『ラストエンペラー』などのジョン・
ローンが演じ、日本やくざのボスを石橋凌が演じている。他
に、デヴォン青木、ケイン・コスギらが共演。まさに日中の
共演で、このキャスティングは納得した。
そしてアクションは、銃撃戦からチャンバラ、格闘技、さら
にはリーお得意のワイアーアクションまで、たっぷりと観せ
てくれる。しかもどれもがかなりリアルに描かれているのは
良い感じだった。アクション監督は、『トランスポーター』
のコーリー・ユエンが担当している。
なお、試写状には、上映はアメリカ公開版で、日本公開では
ヴァージョンが変わるという注意書きがされていた。それで
試写会では、日本公開版ではせりふの一部が吹き替えになる
という説明だった。
というのは、本編は英語、中国語、日本語がそのまま飛び交
うものだが、一部日本語の台詞がたどたどしくて聞き辛かっ
たものだ。従ってその辺が公開版では吹き替えになるようだ
が、実は前半でステイサムが日本語を話すシーンがあって、
それはなかなか良い雰囲気だった。できたら、ここだけは残
してほしいものだ。
また中国語、日本語の台詞には英語の字幕が付くが、これが
最初にちらっと原語の字幕が出てから、それが英語に変化す
る処理がされていた。全部がそうなっていた訳ではないが、
そのセンスも良い感じだった。
話は荒唐無稽だが、アクションは本物だし、その他にもいろ
いろ楽しめる作品だ。

『4分間のピアニスト』“Vier Minuten”
殺人犯として収監されている少女と、暗い過去を持つピアノ
教師の交流を描くドラマ。
その少女は、幼い頃から天才と謳われ、アムステルダムやニ
ューヨークへの演奏旅行も経験したが、養父との確執から反
抗的になり、ついには罪を犯し囚われの身となった。一方、
女教師もまた将来を属望されたピアニストだったが、ある出
来事が彼女にその栄光を捨てさせた。
そんな2人が巡り会い、少女の才能を見抜いた教師は、自分
の過去を償う最後のチャンスとして、少女の成功を夢見る。
しかしそこには数々の障害が待ち構えていた。そしてそれら
の障害を乗り越え、最後に許された4分間に少女が演奏した
曲は…
昨年以来、日本ではクラシックブームが訪れているようで、
その影響もあってか音楽演奏を絡めた映画が目に付くように
なってきた。本作もそんな1本と言えるものだ。しかしこの
作品では、そこに歴史的な背景を絡めて、深く心に残るドラ
マに仕上げている。

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08月20日(月)
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