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On the Production
by 井口健二
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■ミリキタニの猫、プロヴァンスの贈りもの、ブラッド、白い馬の季節、ミルコのひかり、阿波DANCE
場で、今日も数分間で7700万ドルを稼いで見せる。しかし彼
の強引なやり口には不正取引の捜査の手も伸びる。そんなと
き叔父の訃報が届き、彼はその遺産の処分のために日帰りで
プロヴァンスを訪れる。
ところがその手続きに手間取り、会社の事情聴取を欠席した
彼には1週間の強制休暇の処分が下される。それは先輩の休
暇中に今の地位を奪取した彼にとっては、人生最大のピンチ
だったが、思い掛けずプロヴァンスで1週間を過ごす彼の身
に変化が訪れる。
これに、男嫌いの美女や叔父の娘と称するアメリカ娘、産地
の判らない謎の高級ワインなどが絡み、物語が進んで行く。
正直に言ってしまえば、御都合主義を絵に描いたようなお話
だし、決して上手くできた物語ではない。でも、上に書いた
ように正に男の夢物語で、微笑ましく観終えることができる
ものだった。
その展開をとやかく言うより、のんびりとその雰囲気に浸っ
ていたい、そんな感じのする作品だ。その意味での構成は、
実に巧みに作られているし、その辺の映画的な処理の上手さ
は抜群の作品と言える。
共演は、アルバート・フィニー、トム・ホランダー。
一方、現地フランス人の配役として、『TAXi』のマリオ
ン・コティヤール、『マダムと奇人と殺人と』のディディエ
・ブルドン、それにイザベル・カンディエらが素晴らしい雰
囲気を作り出している。

『ブラッド』“Rise: Blood Hunter”
『チューリーズ・エンジェル』のルーシー・リュー主演によ
るヴァンパイア映画。
主人公はタブロイド紙の女性記者、若者のカルト志向をまと
めた記事でカヴァーストーリーを射止めるが、私的に取った
3日間の休暇中に記事は意外な展開を見せる。
取材した若い女性が惨殺され、さらに一緒に取材した男性の
同僚が行方不明となり、彼の残した資料を追った彼女は、謎
の集団に拉致される。そして彼女も惨殺死体となって発見さ
れ、死体置場に収容されるが…
ヴァンパイアとなって甦ったヒロインが、血を吸いたい衝動
と闘いながら、自分をそんな境遇に陥れた犯人を求めて壮絶
な闘いを繰り広げる。家族と共に生きていたい、でも復讐を
遂げれば死が彼女に定められた運命。
ヴァンパイアものは最近よく見掛ける題材だが、コメディで
あったり、ゲーム感覚であったり、本質的なヴァンパイアの
哀しみを描く映画は久しぶりのような感じがする。そんな哀
しきヒロインを、リューが頑張って演じている作品だ。
ただし個人的には、牙で首筋に噛み付くタイプの吸血鬼が好
みなもので、どうもこのナイフで頸動脈を切って噴出する血
を啜るというスタイルは、別段大量の血糊を嫌う訳ではない
が、何となく違和感を感じてしまう。最近はこちらの方が多
いことは事実だが。
アメリカの配給は、5月に『ゴースト・ハウス』を紹介した
サム・ライミ主宰のゴーストハウスピクチャーズ。ジャンル
映画のブランドとしてこれからも期待される。
脚本監督は、『スネーク・フライト』などの脚本家のセバス
チャン・グティエレス。監督も初めてではないようでそつな
くこなしている。でも脚本は多少荒さが目立つもので、特に
遺体安置所からこんなに次々死体が消えては、別の問題が生
じてしまうと思うのだが…
共演は、『ファンタスティック・フォー』のマイクル・チク
リス、『ナイト・ミュージアム』のカーラ・グギーノ、『マ
スター・アンド・コマンダー』のジェームズ・ダーシー。
また昨年亡くなった日本人俳優のマコが出演していて、劇場
映画は本作が遺作のようだが、その役名がポーというのは、
『ポーの一族』なのかな…?
公開は8月11日からで、前回紹介のスウェーデン映画『フロ
ストバイト』と併せて、勝手にヴァンパイア2部作として公
開されるようだ。

『白い馬の季節』“季風中的馬”
内蒙古自治区を舞台に、現代に生きるモンゴル人の遊牧民の
姿を描いた作品。
映画の中で、「昔は馬をどれだけ走らせても緑の草原が続い
ていた」という台詞がある。しかしその緑の草原が砂漠化に

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07月10日(火)
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