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On the Production
by 井口健二
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■第138回
 内容的には、比較的お手軽に製作できそうな気もするが、
各社が逡巡してきた事情がよく判らない。基本的に西部劇で
あることが危惧されているのかも知れないが、その突破口と
なるためにも、早く監督と出演者の発表を聞きたいものだ。
        *         *
 お次は、直接の映画製作の話ではないが、映画の中の喫煙
シーンについて、アメリカで規制の動きが強まっている。
 これは映画における喫煙シーンが青少年の喫煙を助長して
いるとの意見に基づくもので、それに呼応してアメリカ映画
のレーティングを行うMPAAに対し、新たなレーティング
の制定が求められている。それによると、喫煙シーンのある
映画に対しては一律に子供の鑑賞を制限するRレートとする
案の他、別個に喫煙シーンの有無の表示を行うことも提案さ
れているようだ。また、喫煙シーンのあるDVDに対しては
販売のパッケージに反喫煙の表示を義務化することや、喫煙
シーンの削除も求めるとしている。
 問題シーンの削除では、『ET』の再上映の際に、スピル
バーグ監督が、劇中のライフルを構えるシーンの銃器をトラ
ンシーバーに挿げ替えて話題になったことがあるが、タバコ
はどんなものに化けるのだろうか…それからパッケージには
「警告:喫煙は健康被害を発生する」と表示されることにな
るのかな。
 以前からハリウッド映画の中の喫煙率は、一般社会の喫煙
率より高いとの統計も発表され、その裏にはタバコ会社の活
発な営業活動なども噂されていたものだが、特にここ数年は
Variety紙などにも意見広告をよく見るようになってきた。
今回の動きはそれらにも後押しされたもので、アメリカでの
反喫煙の包囲網はかなり厳しく狭まってきたようだ。
        *         *
 ワーナー製作による『300』の映画化を成功させたグラ
フィックノヴェル原作者フランク・ミラーに対して、今度は
ハードボイルドミステリーの脚色の契約が発表された。
 その作品は、クライヴ・オーエンがユニヴァーサルで主演
を予定しているレイモンド・チャンドラー原作“Trouble Is
My Business”の映画化で、ミラー脚本監督による『シン・
シティ』に出演したオーエンが、「自分が知る中で、最もこ
の原作の世界感に精通した人物」として脚本への参加を熱望
したということだ。
 物語は1940年代のロサンゼルスを舞台に、酔っ払いの私立
探偵フィリップ・マーロウの活躍を描くもので、殴り合いや
悪女とのロマンスなど、ミラーの描く男臭さが期待される。
また作品にはシリーズ化も期待されているようだ。
 映画化はオーエンが製作総指揮を務めているもので、実質
製作は、ユニヴァーサル傘下でオーエン主演の『トゥモロー
・ワールド』を手掛けたストライク・エンターテインメント
が担当。計画は今年1月に立上げられ、今回は脚本家の選定
が発表されたものだ。
 なおオーエンは、今後にはケイト・ブランシェット共演の
“The Golden Age”と、ニューライン製作のアクション映画
“Shoot-'Em-Up”の公開が予定されており、またコロムビア
でトム・タイクアー監督による“The International”とい
う作品が準備中とされている。
 一方、ミラーは、前回報告したように“Sin City”の続編
が滞っているものだが、第135回で紹介した“Ronin”は原作
提供だけとしているものの、他にウィル・アイスナー原作の
グラフィックノヴェル“The Spirit”に関しては、ミラーの
脚色監督も発表されており、かなり多忙になってきている。
この状況で、今回の計画はいつ実現するのだろう。
 因に、製作担当のストライクでは、“The Creature From
the Black Lagoon”(大アマゾンの半魚人)のリメイクが準
備中となっているものだ。
        *         *
 2004年2月の第56回で一度紹介しているリチャード・マシ
スン原作の短編小説“Button Button”の映画化“The Box”
が実現に向い始め、主人公の若妻役にキャメロン・ディアス
が発表された。

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07月01日(日)
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