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On the Production
by 井口健二
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■リトル・チルドレン、ミス・ポター、レミーのおいしいレストラン、幸せの絆、フロストバイト、ウィッカーマン、遠くの空に消えた
駄目元の仕事として採用されたものだった。
ところがノーマンは予想外の編集能力を発揮、特にビアトリ
クスの希望した本の売値を安く押さえる方法も効率良く考え
るなど、ビアトリクスの希望を余すところなく取り入れて本
を完成させる。そして売り出された本は、瞬く間にベストセ
ラーとなって行った。
しかもノーマンは、1冊目が出て満足するビアトリクスに直
ちに次の本を要求し、それらは次々に素晴らしい成功を納め
続ける。そんなノーマンの誠意を彼女も感じ始めるが…
この2人に、独身主義のノーマンの姉ミリー(『ほんとうの
ジャクリーヌ・デュプレ』などのエミリー・ワトスン扮)を
加えて、20世紀初頭の男女の姿が描かれる。良家の子女であ
るが故に、平民の男子との恋が認められない。そんな封建的
な面も残る時代の物語だ。
なお、映画にはピーター・ラビットを始めとするポターの描
いたキャラクターたちがアニメーションで登場し、一部は主
人公との共演も果たす。その辺はファンタシーとしても面白
い作りになっている。
ただ、1時間33分という上映時間はちょっとあっけなくも感
じられた。現実がかなり順風満帆の女性の話で、実際にドラ
マティックな展開は少なかったのかも知れない。本編はその
中では唯一ドラマティックな部分が描かれたものだが、でも
山場が1回だけというのは…
後半の自然保護に乗り出す辺りは、彼女の別の一面としての
興味も湧くし、その辺りをもう少し詳しく描いて欲しかった
気もした。
『レミーのおいしいレストラン』“Ratatouille”
5月に特別映像を紹介した作品の全編が公開された。
2004年の『Mr.インクレディブル』を手掛けたブラッド・
バード監督による新作。記者会見の報告でも書いたように、
彼自身は途中から企画に参加したということだが、最終的な
脚本は彼の名前でクレジットされている。
前半の物語は前回書いてしまったが、そこからの後半の展開
は予想を超えて、本当の意味でのファンタスティックなもの
だった。でもこれ以上書くとネタばれになってしまう。
実は記者会見で、ネズミと厨房という、本来なら相容れない
ものを描くことの意義を聞かれ、監督は、「不可能なことを
描くのが物語だと思う。そのハードルは高ければ高いほど面
白い」という発言をしていたが、その意味でも実にうまくま
とめられた物語だった。
正直に言って常識からはかなりかけ離れた物語にはなってい
るけれど、これが本来お話の楽しさだろう。その意味では、
ディズニーが描き続けてきた世界が、正にここに継承されて
いるという感じのものだ。
それにしても次々起こる事件の多彩さやそこに描かれる映像
の見事さは、アニメーションの真髄という感じもした。ディ
ズニーとピクサーの合体は、正に最高のコラボレーションを
生み出したと言えそうだ。
なお、英語版のヴォイスキャストでは、嫌みなシェフ=スキ
ナーをイアン・ホルム、父親ネズミ=ジャンゴをブライアン
・デネー、辛辣な料理評論家イーゴをピーター・オトゥール
が演じている。
それから映画の結末に絡んでは、いわゆる評論家には多少耳
が痛いかも知れない部分もあるが、僕自身はこの意見には大
いに賛成するもので、気持ちを新たにしてこれからも映画紹
介を続けたいと思ったものだ。
後は、台詞の中でモンテカルロとなっていたものが、字幕で
はラスヴェガスに言い換えられていたが、これは仕方ないか
な。オリジナルはそういう点にも気が使われているというこ
とだけ紹介しておく。
それと、本編にはゲイリー・ライドストローム監督の短編が
併映されるが、その登場キャラクターには本編の主人公と同
じモデルが使われているそうだ。それで、実は短編に描かれ
た事件が原因で彼はパリに出てきた…というジョークの設定
もあるようだ。
『幸せの絆』“暖春”
2003年の中国公開では、何と『HERO/英雄』を押さえて
第1位に輝き、中国メディアでは「大催涙弾」と称されたと
いう感動作品。
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06月30日(土)
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