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On the Production
by 井口健二
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■第137回
いたのが印象的だった。
 またミラーは、「この映画化の計画はかなり早いうちに決
まっていたのだが、製作を引き受けてくれる映画会社がなか
なか見つからなかった」として、映画製作の難しさを痛感し
たようなことも話していた。その産みの苦しみが大きかった
分、アメリカでの成功が特にうれしく感じられているような
雰囲気だった。
 記者会見の報告はここまでにして、以下は定例の製作ニュ
ースを紹介します。
        *         *
 まずは、ウッディ・アレンがカンヌ映画祭のクーロジング
上映を諦めて、ヴェネチア映画祭でのお披露目を予定してい
る最新作“Cassandra's Dream”について、この作品のアメ
リカと、オーストラリア、ニュージーランドの劇場配給を、
ワインスタイン兄弟のTWCが手掛けると発表された。
 元々ワインスタイン兄弟とアレンとの関係では、1994年の
『ブロードウェイと銃弾』から1998年『セレブリティ』まで
のアレン作品のアメリカ公開を、兄弟が仕切っていた当時の
ミラマックスで手掛けており、今回の発表は約10年ぶりに元
の鞘に納まったという感じのものだ。
 作品は、『マッチ・ポイント』“Scoop”に続くロンドン
3部作の最終章となるもので、内容的にはコメディの要素は
少なく、ダークな感じになっていると言われている。因に、
『マッチ・ポイント』のアメリカ配給はドリームワークスが
手掛けて興行収入は2300万ドル、“Scoop”はフォーカス・
フューチャーズの配給で1050万ドルだったそうで、元々アー
ト系の映画作家だから大きな数字は期待できないものの、ち
ょっと不本意な感じは否めなかった。
 それがワインスタイン兄弟との再会でどう反応するか、そ
の辺にも興味の湧くところだ。また今回の発表に当って兄弟
の一人のハーヴェイからは、「我々はアメリカで最も偉大な
映画作家と再び仕事のできることに興奮している。ウッディ
・アレンは、そのパワフルで追随を許さない映画作りに、再
び彼の途方もない情熱を注ぎ始めた」と、賞賛の言葉が贈ら
れている。
 なおアレン監督の次回作には、今度は舞台をスペインに移
して、第103回などで紹介したスカーレット・ヨハンセンを
3度目の主演に招く作品が計画されている。
        *         *
 1995年の『モータル・コンバット』から、『バイオハザー
ド』、『エイリアンVSプレデター』などのビデオゲームの
映画化では定評のあるポール・WS・アンダースン監督が、
ユニヴァーサルで進められている“Spy Hunter”の計画に参
加することが発表された。
 この計画については、2003年10月の第49回や2005年5月の
第87回でも紹介しているが、オリジナルはミッドウェイ社か
ら発表されているシューティングゲームで、当時はジョン・
ウーの監督で計画が進められていた。しかし、『ワイルド・
スピード2』のマイクル・バンディットとデレク・ハース、
『フレディvsジェイソン』のマーク・スウィフトとダミア
ン・シャノン、『コラテラル』のスチュアート・ビーティ、
それに『エレクトラ』のザック・ペンらも参加した脚本はつ
いに完成せず、頓挫してしまっていた。
 その計画に、新たにアンダースン監督が参加するもので、
アンダースンは先の脚本を参考に脚本の再構築から始めると
のことだ。そして物語では、乗用車からオートバイ、ジェッ
トスキーにも変身するインターセプターと呼ばれるスーパー
カーが登場し、政府系の秘密捜査官という設定の主人公が、
ノストラと呼ばれるテロリスト集団との闘いを繰り広げるも
のとなっている。
 因に、オリジナルのゲームには主人公は登場していなかっ
たものだそうだ。しかし2004年の計画では主演にドウェイン
“ザ・ロック”ジョンスンが予定され、実はミッドウェイ社
では昨年、そのジョンスンを主人公として登場させるゲーム
の最新版“Spy Hunter: Nowhere to Run”を発表、本来なら
映画の公開と一緒にキャンペーンを行う予定だった。

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06月15日(金)
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