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On the Production
by 井口健二
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■卒業写真、ラッキー・ユー、恋愛マニュアル、デス・オブ・ア・ダイナスティ、陸に上がった軍艦、サイドカーに犬、オフサイド・ガールズ
る父親との勝負のシーンは、勝負のすすめ方の解説も絡めて
良くできていた。
ポーカーの手札の読み合いには推理力も関ってくるし、そこ
に直感力と運も絡んで、単なるギャンブル以上の面白さがあ
るもののようだが、この映画はその面白さも充分に伝える作
品になっていた。
因に、大会のシーンでファイナルテーブルを囲むプレーヤー
は、俳優3人以外はすべて本物のプロたちだそうで、そのチ
ップ捌きやカードの扱い方を見るのも面白かった。
なお共演者で、『アメリカン・グラフィティ』のチャールズ
・マーティン・スミスが久し振りにスクリーンに登場してい
た。またバリモアは、『ラブソングができるまで』に続いて
歌声を披露している。
それからこの作品では、エンディングロールの後にも物語が
続くから、慌てて席を立たないで貰いたい。
『イタリア的、恋愛マニュアル』“Manuale d'amore”
世界的なベストセラー「恋愛マニュアル」のイタリア語版が
発行される…という設定で描かれたイタリア映画。そのマニ
ュアルに沿った4つの物語が順番に登場し、年齢や境遇も異
なる主人公たちが、それぞれの恋愛ドラマを繰り広げる。
1話目は、何をやってもうまく行かない若者がふと町で出会
った女性にアタックを仕掛ける。2話目は、倦怠期に差し掛
かった夫婦が危機を乗り越えようとする。3話目は、信じて
いた夫に裏切られた婦人警官がそれでも夫を信じられるかと
いう物語。そして4話目は、妻に裏切られた初老の男性が新
たな恋に向かうまでが描かれる。
原題に「イタリア的」という言葉は付いていないが、映画を
観ていて感じるのは、イタリア人の恋愛に掛ける情熱のすご
さだ。設定は世界的なベストセラーということになっている
が、イタリア人以外にこのエネルギーは有り得ないのではな
いかとさえ思えた。
また、各エピソードではテーマに沿った格言のようなものが
紹介されて、それがマニュアルという題名の所以でもあるの
だが、果たしてこれが日本人にとってマニュアルとして役に
立つものかどうか…。でも映画は、物語として観るだけで充
分に楽しめる作品だった。
それに、それぞれの物語がそれなりのハッピーエンドなのも
嬉しいところで、さらにそれぞれの物語が巧みに連携されて
いて、しかも最後にそれが輪になる構成も、ちょっと洒落て
いて面白く感じられた。
出演者では、第1話に、ウィル・スミス主演の『幸せのちか
ら』を手掛けたガブリエーレ・ムッチーノ監督の弟で脚本家
でもあるシルヴィオが主演、彼がアタックする女性役には、
2005年に紹介した『輝ける青春』で鍵となる役を演じていた
ジャスミン・トリンカが登場していた。
因に本作は2005年の作品で、2006年にも同じジョヴァンニ・
ヴェロネージ脚本監督による『恋愛マニュアル2』が作られ
たようだ。昨年は韓国製の『サッド・ムービー』があって、
お涙頂戴の作品は日本人には受けが良かったようだが、映画
はやはりハッピーエンドの方が良い。
『デス・オブ・ア・ダイナスティ』“Death of a Dynasty”
Hip-Hopの帝国とも呼ばれる実在のレコード会社ロッカフェ
ラを舞台に、その実体を探るべく潜入した雑誌記者が体験す
る業界の裏側を描いた作品。
ロッカフェラの創設者デイモン・ダッシュが監督した作品だ
が、映画に登場するダッシュやアーチストのジェイ・Zはス
タンダップ・コメディアンが演じており、一方で、実在のア
ーチストも数多くカメオ出演するなど、現実と虚構が入り混
じった作品になっている。
なお配給会社はモキュメンタリーとして売りたいようだが、
2003年に紹介した『みんなのうた』などのクリストファー・
ゲストやユージン・レヴィが提唱するmocumentaryは、もっ
とdocumentaryの手法を取り入れたもので、まずカメラの存
在が明確にされる。
それに比べると、この作品はドラマの要素が強くて、モキュ
メンタリーとするのはちょっと違うかなという感じがした。
まあ記者という設定の登場人物がいるからドキュメンタリー
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05月31日(木)
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