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On the Production
by 井口健二
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■インランド・エンパイア、レミーのおいしいレストラン(特)、屋根裏の散歩者/人間椅子、ゴースト・ハウス、消えた天使
実は、昨年10月に紹介した『マウスタウン』の興行が多少期
待に添わない成績に終って、同じくネズミの登場する本作が
危惧されたところだが、キャラクターの創り過ぎで話にまと
まりがなかったアアドマン作品に比べると、本作は途中まで
は物語に芯が通っている感じがした。
やはりアニメーションには、こういう判り易さが肝心のよう
な気もする。もちろんそこからの捻りが話を面白くする訳だ
が、それが後半どうなって行くか、楽しみなところだ。
なお、ディズニーの作品では、5月25日に“Pirates of the
Caribbean: At World's End”の公開があるが、この作品で
はマスコミ試写会が行われないことになった。従ってこのサ
イトでは扱わないことになる。悪しからず。

『屋根裏の散歩者』『人間椅子』
江戸川乱歩が共に1925年に発表した短編2作品の映画化。
なお試写会は一緒に行われたものだが、公開は1本ずつ独立
に行われるようだ。
僕は多分、両作品とも原作は読んでいないと思うので、ここ
では原作との比較はできないが、雰囲気などはそこそこおど
ろおどろしい感じだし、エロティックな部分もあるし、舞台
は現代の設定だが、妙な現代化はしていないから、その点は
違和感なく楽しめた。
監督は、『屋根裏の散歩者』が昨年11月に『スキトモ』を紹
介している三原光尋。『人間椅子』は短編作品で海外での受
賞歴を持つ佐藤圭作の長編第1作。それぞれ俊英の作品とい
う感じのものだ。
それに俳優も、『屋根裏の散歩者』は嘉門洋子、窪塚俊介、
『人間椅子』には宮地真緒、小沢真珠といった面々で、それ
ぞれがまずまず気合いの入った演技をしてくれている。特に
嘉門は体当たりの演技で頑張っている。その意味では合格点
の作品と言えるだろう。
でも、観ていて何かが物足りないのだな。つまり観ていて、
「おおこれは…」と思わせるようなものがない。元々レイト
ショウで上映されるような扱いの作品だから、製作費などが
潤沢でないことは想像できるが、それはお金だけの問題では
ないような気がする。
何か工夫で、「これはやってくれたな…」と感じさせてくれ
るようなもの、そんなものが欲しい感じがしたところだ。実
は、映像的には多少テクニックを使っているような部分もあ
るのだが、それも、「これは…」というほどの効果になって
いない。
そういう何かが描けてないというか、あったとしてもアピー
ルできていないから、全体的に印象が平板で、物足りなく感
じさせてしまうのだろう。でも、そういうものが描けたとき
には、観る側を納得させて満足させることのできる余地は充
分にあるように思えた。
まあ正直に言って、何か一発コケ脅かしがあるだけでも良い
ような感じもしたが…
それから『屋根裏の散歩者』では、人里はなれたという設定
なのに、背景にさほど遠くなさそうな別の家が写っていたり
して、興ざめになる部分もあった。こういうところは気をつ
けてほしいものだ。

『ゴースト・ハウス』“The Messengers”
『スパイダーマン』シリーズのサム・ライミ監督が主宰する
映画プロダクション=ゴースト・ハウスピクチャーズの製作
で、『the EYE』のダニー&オキサイド・パン兄弟が、ハリ
ウッド監督デビューを飾った作品。
ノースダコタの広野に建つ人里離れた農場。廃屋だったその
農場を買って、シカゴから来た一家が住み始める。その一家
は、両親と10代の娘と幼い息子の4人家族。息子は何故か口
が利けず、娘と母親の関係はうまく行っていないようだ。
父親はその農場でヒマワリの栽培を行おうとしている。とこ
ろがその種を狙うカラスが集まってくる。そして、そのカラ
スを手際よく追い払ってくれた男が、納屋に住み込むことに
なるが…その農場を襲う災厄はカラスだけではなかった。
家庭内の不和を解決するために都会を離れて、静かな農場に
移住した一家。しかし、そのコミュニケーションの無さが一
家を危機に追いやって行く。この話の展開が、もちろん話の
中心は超常現象にあるのだけれど、人間の話も丁寧に作られ

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05月20日(日)
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