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On the Production
by 井口健二
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■第134回
 ロブ・マーシャル監督が、作品賞を含むオスカー6部門を
受賞した2002年の『シカゴ』以来となる旧ミラマックス=ワ
インスタイン兄弟と組むことが発表された。
 作品は、1982年に初演されたブロードウェイミュージカル
“Nine”の映画化。フェデリコ・フェリーニ監督の1963年作
品『8½』(公開時の邦題は、確か分数の間の線は水平だっ
たと思うが、フォントが見付からないので、これでご容赦)
にインスパイアされた物語と言われるこのミュージカルは、
新作の構想を進める映画監督が、人生で関った過去の女たち
の亡霊に振り回されるというものだ。そしてこの作品は、現
実と幻想の境に切れ目のない構成ということで、この構成は
マーシャル監督が最も得意なものとしている。
 オリジナル舞台は、アーサー・コピットの脚本、モウリィ
・イェストンの作詞・作曲で、ラウル・ジュリアが主演した
初演では作品賞を含む5個のトニー賞を獲得、アントニオ・
バンデラス主演の2002年の再演でも2個を受賞している。今
回の映画化では、そのコピットとイェストンも総指揮に名を
連ねての製作が行われるものだ。なお振り付けは、マーシャ
ルと、『シカゴ』でも組んだジョン・デルッカが担当する。
 また、映画化に当っての脚本は新たに執筆されるが、その
脚本家はこれから選考されるとのこと。ただし脚本は、先に
配役を決めてその俳優に合わせた脚色を行うという方針で、
まずキャスティングが話題になりそうだ。製作時期は2009年
頃が予定されている。
        *         *
 ユニヴァーサルが2008年の夏の公開を予定している“The
Mummy”(ハムナプトラ)シリーズ第3弾に、前2作に主演
したブレンダン・フレイザーの再出演が契約され、今年夏後
半の撮影開始に向けて準備が進められている。
 因に今回の計画では、第129回でも報告したように、敵役
にはジェット・リーが登場の予定になっているが、その物語
の舞台も中国になるようだ。
 一方、前2作に出演し、その後に出産とオスカー女優にも
なったレイチェル・ワイズは、現状ではスケジュールの都合
で出演は望めないようだ。ただしこれは本人が拒否している
ものではなく、突然出演が決まったときのために、マイルズ
・ミラー、アルフレッド・ゴーフの脚本は2本用意されてい
るそうだ。因に、彼女のスケジュールでは、フィリップ・ノ
イス監督の“Dirt Music”という作品が8月撮影開始の予定
になっている。
 と言うことで、脚本が最終決定しない段階では映画会社か
ら公式のゴーサインは出せない状況だが、撮影開始の時期は
確定とのことだ。なお監督は、『スティルス』などのロブ・
コーエン。前2作を手掛けたスティーヴン・ソマーズは製作
を担当している。
 なお、フレイザーは、ウォルデン・メディア製作の『地底
探検』の3Dリメイク“Journey 3D”と、ニューライン製作
でイアン・ソフトリー監督のファンタシー作品“Inkheart”
が、いずれも2008年の公開予定となっており、1年間に3本
の大型作品出演は、かなり注目を浴びているようだ。
        *         *
 以前から紹介しているマーヴル・コミックスによる自社作
品の直接映画化が始動され、その第1弾として“Iron Man”
の撮影が、ロバート・ダウニーJr.、グウィネス・パルトロ
ウ出演、ジョン・ファヴロー監督で3月に撮影開始された。
そしてそれに続く第2弾の“The Incredible Hulk”では、
主人公ブルース・バナー役をエドワード・ノートンが演じる
ことが発表されている。
 ノートンは、『レッド・ドラゴン』や『ミニミニ大作戦』
でも記憶されるが、最近では『キングダム・オブ・ヘブン』
での仮面の出演の他は、インディーズに活動の中心を置いて
おり、2005年5月に紹介した『ダウン・イン・ザ・バレー』
などへの出演や監督業も行っているようだ。従ってユニヴァ
ーサルが配給するこの作品では、久々のハリウッド映画への
出演ということになるものだ。

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05月01日(火)
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