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On the Production
by 井口健二
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■デブノーの森、エマニュエルの贈りもの、コマンダンテ、電脳コイル、初雪の恋、テレビばかり見てると馬鹿になる、スパイダーマン3
に自分の思いつきを実現するための資金援助を求める手紙を
出す。その思いつきとは、障害者の自分が自転車でガーナを
1周し、他の障害者たちを励ましたいというユニークなもの
だった。
そのユニークさが買われて、エマニュエルは自転車の購入費
と、旅を行うための資金を得る。そしてガーナ1周を行い、
それがアメリカに報告されると、今度はアメリカの障害者の
トライアスリートの大会に招待され…
取材期間は2年間ほどのようだが、まさにとんとん拍子に事
が運んで行くという感じの作品だ。しかしこれは実際に起き
たことなのだ。
そして現在の彼は、各地の大会などで得た賞金を基に、ガー
ナで身体障害者支援のための基金を設立。特にスポーツでの
支援を中心とする彼の夢は、2008年北京パラリンピックに、
車椅子バスケットボールのチームを派遣することだという。
さらに彼の活躍は、基金の運用だけでなく、ガーナでは初と
なる障害者法の制定や、現存する各部族の王様からの支援の
宣言など、政治力も発揮され始めている。まさに彼の働きで
ガーナの国自体が変りつつあるようだ。
僕は障害者ではないから、彼らの心情などが的確に判るわけ
ではない。また、アフリカの地でのエマニュエルの活動など
も知る由もなかったものだが、映画の中には示唆に富んだ発
言も多く、いろいろなことを考えさせられる作品だった。

『コマンダンテ』“Comandante”
題名はスペイン語で司令官の意味のようだ。国民の9割が支
持し、今でも「司令官」と尊敬の念を込めて呼ばれる独裁者
フェデル・カストロ。このキューバの支配者に、オリヴァ・
ストーン監督が、2002年2月に30時間に及ぶインタヴューを
行った記録映画。
作品は2003年に完成されたものだが、アメリカ本国では、映
画祭などでの上映記録はあるものの、一般映画館での公開は
されていないようだ。その理由は、いろいろ取り沙汰されて
いるが、本編を見ると、アメリカ政府にとってはこのように
人望の厚いカストロの姿が公開されるのは、多少気になると
ころだったかも知れない。
インタヴューの内容は多岐に渡っており、チェ・ゲヴァラの
ことや、ストーン監督が2個の勲章を授与されたというヴェ
トナム戦争のこと、そしてもちろんキューバ危機。さらには
好きだった女優や、最近観た映画(タイタニック、グラディ
エーター)などについても語っているというものだ。
その収録場所も、執務室のような場所から、レストランや、
訪問先の学校などもあり、それぞれの場所での歓迎ぶりや、
集まった人々の発言なども織り込まれる。
また、2000年に発生したゴンザレス少年の救出問題に関して
の言及(キューバ政府として動くかどうか迷ったという話)
や、歴代ソ連首相の中でエリツィンが一番の大酒飲みだった
などを、時にユーモアを込め、穏和に語り続ける。
そこには記録映像も挿入されるが、全体としては、功なり名
を遂げた人の思い出話という感じで、実に淡々として、逆に
訪問先での熱狂振りでも挿入しないと、作品全体のリズムが
作れなかったのではないかと思われたくらいのものだ。
ストーンが追求するヴェトナム戦争での捕虜虐待がキューバ
からの軍事顧問団の指図で行われたのではないかという疑問
にも、軽くいなす感じで、多少語気は強めても激昂するよう
なところはない。またストーンもそれを認めてしまうような
雰囲気になっている。
いずれにしても淡々とした作品だが、それでもさすがにスト
ーン監督らしく、観客を飽きさせることなく作られた作品。
日本人の多くはほとんど知ることのないカストロの一面を観
させてくれる感じの作品だった。

『電脳コイル』
NHK教育テレビで5月12日から午後6時30分の枠で放送さ
れるアニメーションシリーズ(全26回予定)の最初の2回分
の試写が行われた。
物語の舞台は、大黒市と呼ばれる地方都市。神社も多く古都
のたたずまいを見せるその街は、実は最新の情報インフラの
整備された街でもあった。主人公の優子は、小学校最後の年

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04月20日(金)
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