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On the Production
by 井口健二
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■ドリーム・クルーズ、ABonG、不完全なふたり、プレステージ、ストリングス、ハリウッドランド、Academy
ってしまうという展開だ。
さらに、そこに自生している食用植物の知識を広めようとす
るヴォランティアの男女や、ソーラーパネルを売りつけよう
とする業者や、いろいろな要素が入ってくるが、実際のとこ
ろはそれぞれの関連は希薄で、ちょっと観ていて混乱してし
まったところだ。
内容が内容なだけに、あまり批判する人はいないというか、
観た人の大半は誉めていることと思うが、正直なところは、
映画として日系人問題を描きたいのなら、もっと物語をそこ
に集中させて、明確に語って欲しかったとも言いたい。
ただし、サブストーリーの部分では、論争や解説的な台詞な
どもいろいろあって、監督の言いたかったところはそちら側
にあるようにも観えるが、それ自体は別段目新しいものでも
なく、たどたどしい英語の台詞せいもあって少し青臭くも感
じられた。
それより、日本人としては日系人の問題をもっと詳しく知り
たかったもので、今回は俳優を起用したドラマ作品だが、出
来ることならドキュメンタリーでちゃんと紹介して欲しいと
も思えるところだった。
『不完全なふたり』“Un Couple Parfait”
フランス映画祭上映作品。
昨年12月に紹介した『パリ、ジュテーム』の中では、一番気
に入っている内の1篇「ヴィクトワール広場」の演出を担当
した諏訪敦彦監督による2005年の作品。
2005年7月に紹介した『ふたりの5つの別れ路』などのヴァ
レリア・ブルーニ=テデスキと、『王妃マルゴ』などのブリ
ュノ・トデスキーニの共演で、友人の再婚の結婚式に出席す
るためパリを訪れた結婚15年の夫婦の姿を描く。
建築家と写真家の2人は、周囲からは理想的なカップルと思
われているようだが、実は…というお話が展開する。そして
その2人の姿を、固定カメラの長回しと、渡されたのはシノ
プシスだけという、ほとんどが即興劇で描き出して行く。
といっても、シノプシスは詳細なものだったようで、一つ一
つの場面設定は明確に定められていたようだ。その場面設定
の中で、俳優やスタッフのディスカッションによって物語が
作られたとされる。
簡単に言ってしまえば「痴話喧嘩」という感じの内容だが、
自分が結婚から30年近くを経た目で見ていると、思い当たる
ところも多々ある作品で、一部には似すぎていて苛々すると
ころもあるくらいに、見事に描かれていた。
まあ、夫婦も長くやっていると、こんなこともあるなあとい
う感じの作品。だから、物語はごく普通に進んで行くし、そ
こにあっと驚くような仕掛けがある訳でもない。ただ、何カ
所か示唆に富んだ台詞が登場したりするくらいのものだ。
したがって、それをどう受け取るかは観客の側の状況にも影
響されそうで、見方によっては何だこりゃにもなってしまう
かもしれない。でも、自分自身の体験として、夫婦はこんな
ものだという感じで納得したりもしてしまった。
それにしても、フランス語はほとんど判らないという監督が
通訳を介した作業で、しかも撮影期間11日でこのような作品
を作れてしまうということにも驚かされる作品だった。
『プレステージ』“The Prestige”
『バットマン・ビギンズ』のクリストファー・ノーランの監
督で、19世紀末のロンドンを舞台にした2人のマジシャンの
対決を描いた作品。
2人のマジシャンを演じるのは、『X−メン』のヒュー・ジ
ャックマンと、『バットマン…』のクリスチャン・ベール。
共演は、スカーレット・ヨハンソン、マイクル・ケイン。さ
らにデヴィッド・ボウイ、アンディ・サーキスも登場する。
主人公となる2人は、若い頃から互いをライヴァルとして切
磋琢磨してきた。やがて、一方が老練なマジシャンの指導の
許、派手な演出で人気を掴むが、彼にはもう一人が演じる瞬
間移動の技の秘密が掴めないでいた。
やがて彼は相手の日記を盗みだし、暗号を解読して、遂にア
メリカ在住の発明家ニコラ・テスラへと辿り着く。そして、
テスラの発明による高周波高電圧発生器を手に入れ、さらに
派手な演出による瞬間移動の技を編み出すが…
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03月31日(土)
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