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On the Production
by 井口健二
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■スパイダーマン3(特)、きみにしか聞…、こわれゆく世…、心配しないで、逃げろ!いつか戻れ、待つ女、ストーン…、CALL ME ELISABETH
出演は、『神童』の成海璃子と、『リンダ リンダ リンダ』
の小出恵介。監督は、テレビや映画の助監督を長く務めて、
これがデビュー作の荻島達也。なお、本編中に成海がピアノ
を弾くシーンがあり、『神童』を見た後ではちょっと微笑ま
しかった。

『こわれゆく世界の中で』“Breaking and Entering”
アンソニー・ミンゲラ監督による『コールド・マウンテン』
以来の監督作品。オリジナルの脚本もミンゲラが執筆したも
のだ。
主人公は、ロンドンの中心街で再開発プロジェクトを進める
建築家。彼の私生活にはパートナーの女性がいたが、彼女の
連れ子の娘のことで関係は破綻しかけている。一方、彼のオ
フィスが窃盗団に襲われ、その犯人を追った主人公は、犯人
の母親に目を留める。
そして最初は、犯人の確証を得るためにその母親に近づいて
行くのだが、親密になった彼女からは、ボスニアの戦時下で
英雄と呼ばれた夫を失い、息子だけ連れて逃れてきたという
境遇を聞くことになってしまう。
こうして、2人の女性への愛の狭間に立たされた主人公は、
やがてその2つとも失うかも知れない事態へと直面して行く
ことになる。
この主人公を、『コールド…』に続いてジュウド・ロウが演
じ、ボスニア難民の女性を、ミンゲラ監督の『インプリッシ
ュ・ペイシェント』でオスカー助演賞受賞のジュリエット・
ビノシェ。また、パートナーの女性をロビン・ライト・ペン
が演じている。
他に、『銀河ヒッチハイクガイド』のマーティン・フリーマ
ン、共に『デパーテッド』に出演のレイ・ウィンストン、ヴ
ェラ・ファーミガが共演。さらに、ラフィ・ガヴロン、ポピ
ー・ロジャースの2人の若手が素晴らしい演技を見せる。
因に、本作は2003年にイギリスで公開されているが、ワイン
スタイン兄弟のディズニーからの離脱などのトラブルの巻き
込まれて、アメリカでもようやく昨年になって公開された。
従って、共演の3人はそれぞれ記載の作品より前に出演して
いたものだ。
物語的には、2人の女性の間で自らの行動の結果に悩み苦し
む男を描いたものだが、最初の切っ掛けがどうであれ、主人
公の行動は軽率だし、男性である僕の目で観ていてこの主人
公の行動は、一概に許していいものかどうか悩むところだ。
しかも、物語は結果として、女性の理解の大きさに救われる
面も大きく、僕が観ている分にはほっとできるのだが、女性
の目にはどのように映るのだろうか?男性としては気になる
ところだ。
物語の展開は、巨大プロジェクトのプロモーションのCG映
像や、一方でガヴロンが演じる窃盗団の若者のアクロバティ
ックなアクションなど、いろいろな要素が満載され、約2時
間の上映時間は短くも感じられた。
それにしても、ロンドンのキングズクロス界隈があんな場所
とは知らなかった。

『心配しないで』“Je vais bien ne t'en fais pas”
19歳の少女がバカンスから帰ってくる。その家では、双子の
兄が父親との口論の末に家出をしたと言われる。しかし、そ
の口論の原因などははっきりしない。しかも平静を保とうと
する両親に少女は苛立ち、それが高じて彼女は拒食症になっ
てしまう。
そして、入院してもどんどん痩せ細って行く彼女に、病院側
は両手をベッドに縛り付け、強制的に栄養を供給しようとす
るが、それもなかなか上手く行かない。そして彼女の体力も
限界に来たとき、兄からの手紙が届いて一転、彼女は回復に
向かい始める。
その後も兄からの手紙は届くが、住所は転々として会いに行
くことはできない。しかもその手紙には父親への悪口が綴り
続けられる。それでも落ち着きを取り戻した彼女は、そんな
状況の中で恋人を見付けられるまでになるが…
予備知識なしで見ていて、物語の進展の仕方には驚かされ続
けた。途中ではそれなりに予測のできた部分もあったが、か
なりの部分は予想外の進展だった。特に結末には、最初はな
ぜ?と疑問符も付いたが、よく考えると、これもあるかなと
いう物語だ。

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03月10日(土)
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