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On the Production
by 井口健二
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■ゴーストライダー、ダウト、フライ・ダディ
ただまあ、何しろ主人公は振り回されっぱなしで、その間リ
オッタのまぬけ面が繰り返し出てくるということになると、
こんな奴が地方検事で市長選にも出るのか?という気分にも
なってしまうところで、適役は間違いないが…という感じで
はあった。
スミス以外の共演者では、『エンタープライズ』でバルカン
人トゥポル役のジョリーン・ブレイロック、『キンキーブー
ツ』のドラッグクィーン役でゴールデン・グローブ賞候補に
もなったキウェテル・イジョフォーなど。人種問題などもう
まく取り入れられた作品だ。
製作は、『ショートサーキット』の2作に出演していたフィ
ッシャー・スティーヴンス。最近別の作品でも製作者として
名前を見掛けたが、頑張っているようだ。
なおエンドクレジットによると、本編中に『エンタープライ
ズ』の映像が出ていたようだが、確認できなかった。

『フライ・ダディ』(韓国映画)
在日韓国人作家の金城一紀原作による映画化。
同じ原作からは、2005年に岡田准一、堤真一主演による日本
での映画化があり、実はその時にも試写状はもらっていたが
時間の都合で観られなかった。今回は、韓国での映画化をよ
うやく観ることが出来たものだ。
主人公は中年サラリーマン。妻と一人娘の家族がいて、そろ
そろ部長に昇進も夢ではない順風満帆の男だ。ところがその
一人娘がカラオケで暴漢に襲われる。そしてその入院先に男
が訪ねてきて、謝罪もそこそこに高飛車な示談を申し出る。
実はその犯人は、高校のボクシングチャンピオンを目指して
おり、その将来を危うくするような事件が明るみに出ること
を恐れていたのだ。その上、相手は主人公の勤め先まで調べ
上げ、政治力まで使った圧力を掛けてくる。
その状況に、一旦は折れてしまった主人公だったが、家族を
守れなかったという後悔の念が残り続ける。しかも娘は、身
体の傷は癒えても、対人恐怖のために外出できないという心
の傷で、退院が出来なくなる。
この事態に主人公は、犯人への復讐を誓って、犯人の通う高
校に乗り込むが、犯人のところにたどり着く以前に別の生徒
の一撃で倒されてしまう。しかしその父親の意気を感じた生
徒たちが復讐への協力を申し出る。こうして父親の猛特訓が
始まる…というものだ。
この父親役を2005年9月に紹介した『ビッグ・スィンドル』
等のイ・ムンシクが演じ、彼を特訓する高校生を、日本映画
の『ホテル・ビーナス』がデビュー作というイ・ジュンギが
演じている。なお、イ・ムンスクは、撮影前に体重を15kg増
やして中年男を演じ、半月の撮影中にその体重を元に戻した
と言うことで、その風貌の変化が見事だった。
日本での映画化がどのようなものであったかは判らないが、
堤の主演だと最初からそこそこ強そうな感じもするが、イ・
ムンスクの前半の容姿は小太りで、確かに小心者の雰囲気が
ある。それが見事に変身して行くのだから、本当に映像から
納得できる感じだった。
それに、やはり自分が娘を持つ父親としては、この主人公の
心情も良く判るもので、さらにその後の頑張りぶりには心底
から感銘してしまうところがある。しかもその頑張りが、実
に巧みに映像化されていて、その辺も見事な作品だった。
コメディタッチで、いわゆる感動作というものではないが、
こういう作品のほうがずっと素直に感動できる気がした。

02月20日(火)
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