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On the Production
by 井口健二
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■ボビ−、恋愛睡眠のすすめ、恋しくて、鉄人28号、かちこみ!、モンゴリアン・ピンポン、ポイント45、忍者
シャイでなかなか思いを伝えられない。その上、彼は自分に
都合の良い夢だけを見られる手法を考え出し、そこでは仕事
も恋もうまく行く夢想世界を生み出すのだが…。それが現実
とごっちゃになり始めて…
この夢想世界の映像化には、ペーパークラフトを使ったミニ
チュアや、ぬいぐるみの人形アニメーションなども登場し、
ファンタスティックと言うか、いろいろ味わいのある映像が
展開する。そんなところも面白い作品と言えるものだ。
それに夢想と現実の交錯がかなり複雑で、その謎解きも面白
かった。この辺は『エターナル…』のカウフマン脚本が影響
しているとも言えそうだ。『エターナル…』も2回見たが、
この作品もそうなりそうだ。
なお、プロローグで、過去(past)とパスタを引っかけた駄
洒落に気が付いた。主人公がフランス語は喋れないという設
定で、せりふは英語、スペイン語、フランス語が交錯してお
り、言葉による仕掛けが他にもあったかも知れない。字幕で
はその辺はあまり良く判断できなかったが。
『恋しくて』
TBSテレビのオーディション番組「イカ天」で話題になっ
た沖縄県石垣島出身のバンドBEGINのエッセイを基に、
『ホテル・ハイビスカス』の中江裕司が脚色、監督した地元
高校生バンドの成長を描いた作品。
『ホテル…』では、目茶苦茶元気の良い沖縄の小学生が主人
公だったが、今回の主人公は高校生。でも、今回も前作の主
人公同様、出演者のほとんどは素人の地元の子たちがオーデ
ィションで選ばれている。
主人公の栄順と加那子は幼馴染み。小学生の時に加那子が少
し離れた祖母の家に引っ越したため、高校入学で再会したと
いう設定のようだ。そして、栄順は加那子の兄セイリョウが
突然思い付いた学園祭のバンドに参加することになる。
加那子とセイリョウは、クラブ歌手で自ら店を経営する母親
と暮らしているが、母親の歌に惚れて結婚したとされる父親
は、歌を捜しに行くと出かけたまま音信不通になっている。
以来、加那子は歌うことができない。
一方、バンドは牛小屋や灯台で練習を続け、やがて県内のバ
ンド大会に出演して、優勝者に与えられる東京進出を夢見る
ことになるが…
セイリョウ役を演じる石田法嗣は、『戦国自衛隊1549』
などにも出ているプロの若手俳優だが、その他のバンドのメ
ンバーとなる4人はいずれも沖縄生まれの素人。しかし、特
に加那子を演じる山入端佳美の溌溂とした姿や、栄順を演じ
る東里翔斗の、まさに石垣島出身のナイーブさは見事に映画
に映し込まれている。
それに、石垣島で全て順撮りで撮影された自然の美しさは、
沖縄のすばらしさを満喫させてくれるものだ。
ただし正直に言って、このバンドの実力には疑問を感じた。
実は、一緒に出てくる他のバンドが無茶苦茶うまいのだ。そ
れに対して、この実力だけで勝ち抜けたというのには多少無
理を感じてしまうもので、ここにも何か脚本上の工夫が欲し
かったように思えた。
もちろんこれには、結末とのバランスもあるものだが、別に
最後が全国優勝である必要もないし、東京に行く話は彼女と
の関係では必要なものだが、そこも何か一工夫できたように
も思えた。
実は、以前にも高校生が全国大会を目指す作品があって、そ
の時も途中の展開に無理があるように感じた。もちろん作品
のテーマは、彼らの成長を描くことであるから、その間の展
開は話でしかないのだが、それでもそこに疑問を感じると、
テーマの良さも消えてしまう。
話の途中でなら多少の無茶は許されるから、『逆境ナイン』
ほどではなくても、何かの工夫が欲しかったところだ。
『鉄人28号〜白昼の残月』
2004年にテレビ東京の深夜枠で放送された今川泰宏監督によ
るアニメーションの劇場版。
横山光輝の原作からは、すでに幾度か実写やアニメーション
による映像化があったが、今川監督は、あえて物語を現代化
せず、昭和30年代初頭を時代背景とし、突如現れた鉄人28号
を負の遺産として描き込んで話題となった。
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02月10日(土)
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