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On the Production
by 井口健二
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■龍が如く、許されざるもの、ブラッド・ダイヤモンド、ケータイ刑事2、あかね空、今宵フィッツジェラルド劇場で
資金も調達して、映画学校の4年生の時に卒業製作としてこ
の映画を完成させたというものだ。しかもそれが高く評価さ
れた訳だ。
ただし、映画は、時間の流れを入れ替える最近流行りの手法
で構成されているが、実はこれがあまり成功しているとは思
えなかった。結局この手法では、判った瞬間に観客になるほ
どと思わせるのが醍醐味だが、それほどの鮮烈さが感じられ
なかったものだ。
もっとも、これが新人監督の第1作だと考えると、それは見
事ではあるが…なお監督は、主要な登場人物の一人として出
演もしているもので、その意外な配役にも驚かされた。
それにしても、戦時の極限状態ならまだしも、平時の義務兵
役で幼稚とも言える苛めが、しかも伝統的に行われていると
いうのは、簡単に言ってしまえば軍隊という組織の愚かさを
示している。日本も兵役が復活すれば、すぐにもこうなるだ
ろうという現実だ。
『ブラッド・ダイヤモンド』“Blood Diamond”
『ラスト・サムライ』などのエド・ズウィック監督が、レオ
ナルド・ディカプリオを主演に迎えて、西アフリカの紛争地
帯に於けるダイヤモンドシンジケートの暗躍を描いた作品。
共演は、ジェニファー・コネリーと、『グラディエーター』
のジャイモン・フンスー。
舞台はシエラレオネ。政情不安なこの国では、総選挙を前に
反政府組織が、投票阻止と称して民間人の腕を切り落とすな
ど暴虐を続けている。そしてフンスー扮する黒人一家の父親
ソロモンは、組織の資金源であるダイヤ鉱山に徴用され、そ
こで巨大なピンクダイヤの原石を発見してしまう。
一方、ディカプリオが扮するダニーは旧ローデシア生まれの
白人。幼い頃から兵士として、時には傭兵として過酷な人生
を歩んできたが、現在はダイヤシンジケートの手先として、
武器の供給と引き換えに反政府組織のダイヤを闇で集める仕
事をしていた。
このため、後ろ楯のある彼の行動は、脱出用の小型機を戦地
に呼び寄せるなど、大胆なものだったが…ある日、仮に収監
された牢獄で、ソロモンが発見したという巨大なピンクダイ
ヤの情報を掴む。それは、彼をアフリカの地から脱出させる
鍵となるかも知れなかった。
早速、ソロモンとコンタクトしたダニーは、彼の家族が行方
不明であることを知り、家族の救出を取り引き材料として、
ダイヤの隠し場所に案内するように彼に要求する。
そしてコネリーが扮するのは、アメリカ人の女性ジャーナリ
スト。世界中の紛争地でスクープをものにしてきた彼女が、
今狙っているのは世界中の反政府組織の資金源とされるダイ
ヤモンドシンジケートの悪行を暴くこと。
こうして互いに思惑の絡み合った3人の冒険が始まる。
物語の背景は1990年代後半とされているが、現実には2002年
に国連主導による不正ダイヤ取り引きを規制するキンバリー
プロセスが発効している。しかしこのような不正取引は、今
も続いている言われているもののようだ。
このため本作のアメリカでの公開時には、ダイヤモンドシン
ジケートからの抗議も行われたということで、彼らは自らそ
の実体を曝け出したとも伝えられた。確かにここに描かれて
いるようなことは今も行われていることなのだろう。
とは言え、映画はそれを見事なアクションアドヴェンチャー
に仕立てたもので、フンスーと息子との関係や、ディカプリ
オとコネリーの仄かな恋愛関係など、ドラマティックな展開
が盛り沢山なものだ。特にディカプリオのキャラクター作り
には感心させられた。
そしてシエラレオネの現地やジンバブエ(旧ローデシア)、
南アフリカなどで撮影された映像も見事。今も続いていると
思われるアフリカの現実を知る意味でも素晴らしい作品と言
える。
『ケータイ刑事 The Movie 2』
2002年に宮崎あおいの主演でBS−iにて放送開始。以後、
堀北真希、黒川芽衣、夏帆、小出早織と演じられてきた女子
高生刑事シリーズの映画版。
実は、昨年映画版の第1作が公開され、今回がその第2作。
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01月20日(土)
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